2009

07.18

くりごと


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心は押さえつけて
思い通りにできない

自分の心さえ

忘れようとしても
嫌いになろうとしても
ただ辛いだけ

薄皮を剥ぐように
一枚 一枚 
生身を削りとられる
滲んでいた血が
流れ出し
床に溜まって固まっていく

痛くして
何も考えない時間をください
酷くして
考えられ無くしてください

いいえ
いっそ いっそ

焼き尽くしてください



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    2009

07.06

虚ろ


いつも迷う森の中の道
辿って 巡って 転んで 穴に落ちた
森に行く前にちょっとためらった

「まあ、いいや」

考えないで

「まあ、いいや」

一歩を踏み出した

「まあ、いいや」

淋しかったから・・・

時々振り仰ぐ空に
三日月が一緒について来た

計算して
角を曲がる
月が照らす道は 頼りなく暗い

そして 落ちた穴は結構深い




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    2009

06.05

狭間に・・・12

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 途端に、身体の中で蠢いていた手が、するりと抜け出て、風が動いたかと思うと、尻たぼに、大きな手が打ちつけられた。
 派手な肉を打つ音が部屋に響き渡った。彼が私の尻を掌で打ったのだった。じんじんと痺れる痛みが、その場所に広がった。多分赤くなっているはず。掌の形に浮き出た赤さが、監視カメラの中に、写りこんでいるだろう。痛みが私を鋭く引き裂き、私は息をするのも困難な状態で、喘いだ。

 続けさまに掌が打ちつけられた。痛みが襲いかかり、私は仰け反った。腹を椅子に打ちつけて、もがき、身体を捻じった。一打毎に、痛みが強くなり、なんとかして、打たれる場所を変えようともがく。身体を丸め、次には逸らし、跳ねては、しがみつく。

「ひいっ!」

 我慢しようとしても、口を出る叫びを押し殺せなかった。

「いたっ・・・!痛いっ。」

 憧れていた。縛られてお尻を叩かれたいと。自分のコントロールの外の苦痛。彼の膝の上で痛みに泣きたいと。だが、彼がくれる痛みは予想以上で、耐えがたかった。容赦ない打撃の下で、私は泣き叫んだ。

「やめて。痛いっ、いたあああいい。」

「いやあ!許して。お願い。もう、許して。」

 何打ぐらい叩かれたのか、数えられないほどに、叫んだ。汗びっしょりになった身体を弾ませて、許しを請うて、泣き声をあげて。それが、来た時は、驚きの方が先だった。痛みが、変質していく事に。
 私は声を上げるのを歯を食いしばって押し殺した。心を澄まして、それを見つけようと、掴もうとした。膨れ上がってくる物が、痛みを押しやり、熱くなった身体に、満ちてくる物を見つめた。抑えきれなかった、かすれた悲鳴が消えていくのと入れ違いに襲ってくる波。満ちて来る。うねり。

 私は、それを見つけられるのだろうか。

 大丈夫。俺が・・・。

 教えてあげるから・・・・。

 世界は遠ざかり。私は空白の海に漂い出たのだった。




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    2009

06.04

狭間に・・・11

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 押し殺す必要が無くなった喘ぎに、息を弾ませながら、私はもがいた。

「もう、終わり。もう、もう、終わり。」
「どうして?」

 彼の手は、さっきよりもゆっくりと、けれど充血して、より感じる場所を深くえぐり続けた。

「だって、もう、逝っちゃったの。もう、逝っちゃったの。だから、もうおしまい。」
「もう一度逝けるよ。何度でもね。」
「いや、もう、いや・・・。」

 私の声には鳴き声が混じり始めていた。

「見られちゃった。見られちゃった。知らない人に。」
「うん」
「嫌って言ったのに、言ったのに・・・。」
「うん」

 手が、ゆっくりと、中から出て行くと、花びらを押し広げ肉目を剥きだした。触れるか触れないかの微妙な距離で、円を描き続ける。快感は、深く、私をしっかりと掴んで膨らみ続けて行く。私は、自分の身体が、滑り落ちて行かないように、必死で椅子にしがみつく。

「考えたことがある?」

 彼の人差し指が皮を剥き、緩く添えられた親指が円を描く、中指と薬指は全く別の生き物のように動き、中に深く入り込んでくる。私は、首を振り続け、彼の指さきで踊った。

「カラオケボックスって、監視カメラが付いているんだよね」

え?薄いピンク色の靄の中、私の肉はひくひくと痙攣した。

「多分、さっきの店員が、戻って行って・・同僚に言うだろうね」

「この部屋で何が起きているか」

「手の空いたものは、替わりばんこにカメラを覗きこむ。君が椅子に縛られて、身動きのならない身体を、僕にまさぐられている様を観るためにスカートをめくりあげられて、何もかも晒しているところを。」

「カメラの位置がどこだか知っているかい?」

「君のお尻の後ろの方だ」

「きっと何もかも丸見えに映っているよ」

「録画されているフィルムの上にも」

「君の、痴態が焼き付けられている」

「受付に居た、あの若い女性も、きっと、それを見ているね。」

 恥ずかしいって事が、身動きがならないという事が、逃れられないって事が、こんなにも快感を強くするなんて思っていなかった。 
 思っていたけれど、ほんとに知ってはいなかった。彼の言葉の一つ一つが、私の、心を揺さぶり、身体の中を、恥ずかしさが荒れ狂う。優しい愛撫がもどかしい。私は、泣きながら、しゃくりあげながら、揺れた。


続く
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    2009

06.03

狭間に・・・10

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 店員の上ずった声に、部屋の中で起きている事に動揺しているのが分かる。引きずるような靴の音が、テーブルの上にコップを置く音が、耳の中で反響した。それでも、彼の椅子の上の身体が、私の一番隠しておきたい場所を、店員の視線から遮ってくれているはずだ。何もかも、何もかもは見えていないはず・・・。
 その時彼の手が、私の中に入って来た。

 ぬちゃ・・・。

 濡れそぼり、充血し、男の手を待ち望んでいる身体がたてる音が、部屋に響き渡った。

 店員が、テーブルの上に飲み物を置いてそのまま固まっている気配がする。私は眼を閉じて祈った。お願い。早く出てって。見ないで。見ないで。出て行って。突き上げてくる物が私に、無意識に首を振らせた。髪の毛が揺れる。
 私の中の彼の手が、ゆっくりと蠢いた。壁をこするように中へ入って来る、そして、2本に増え。開き。またゆっくりと出て行く。と、思う間もなくもう一度中へ。

 音が響く。濡れた音。性器が立てる音が。

 テーブル越しに覗きこまれているのが分かっていて、どうしようもなかった。
 店員に、尻の間から、彼の手が出たり入ったりしているのが見えているだろう。ひくひくと体が反応し、肉が痙攣し、ぴちゃぴちゃと、淫猥な音を立てる身体が、蠢いているのが。部屋中に充満する女の匂いが。首を振るのをやめる事が出来なかった。声をたてまいと、唇を噛みしめて、吹き荒れる快感が沸き上がって来るのをを閉じ込めようとした。

 出ないで、外に。助けて。

 止まっているかのようにゆっくりと時間が流れ、店員が、スローモーションのように動き、部屋を出て、ドアがしまる音がするまで、どれくらいの時間があったのか分からない。不自然なほどにそれは長く、私は何度も何度も浮き上がり、うねりに飲み込まれそうになっては自分を引き戻した。
 ドアが閉まった瞬間に、私は叫び声を上げていた。

「いやあっ!」

 そして、逝ってしまった。耐えきれずに。



続く
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    2009

06.02

狭間に・・・9

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 立ちあがって、彼が、電話の所へ行ったのが分かった。受話器を取り、電話機に向かって、オーダーを告げる。それが意味している事を、私は、知って、仰天した。どこかで高をくくっていたのかもしれない。そこまではしないだろうと思っていたのかもしれない。それは、もしかして咎められたりするんじゃないだろうか・・と、いう予感が、彼は、そこまでしないだろうという予想に結びついていた。
 冷や汗が、どっと噴き出して、私は、逃れようと腕を引っ張った。縄がきしむギシギシいう音と、椅子が鳴る音が、部屋に充満する。黙って、抵抗する私を、彼は、止めなかった。椅子に戻ってきて座り、私が、必死に、縄から腕を抜こうとするのを、ただ、黙って見つめた。

 ああ、どうしよう。来ちゃう。もう、来ちゃう。そしたら、見られてしまう。私が椅子に縛りつけられているところを。こんな場所でなにをしているのかと思われる。いや、何をしているのかなんて見れば分かりきっている。ぎしぎしぎしぎし・・・。どうやっても、身体は自由にならなかった。

「やだ。ほどいて、見せるのは嫌。」

「うん。」

 彼の手が、また、お尻の上に乗せられた。もう、薄いスカート一枚しか覆うもののないお尻の上に、再び彼のぬくもりが広がる。それから彼の手がスカートの下へ潜り込んできて、広げられた足の間を撫で上げた。

「ひぃやっ!」

 口を閉じる暇もなく、私は叫んでいた。不意打ちに走った快感に、猫のように身体を丸めて、それを耐えた。それからじわじわと、這いまわる手が与える物を歯を喰いしばってやりすごそうとした。さっきよりも、強い快感が、身体の中から、その手の動きに答えようと広がって来る。この状況で。こんなに焦っているのに。

 彼が、もう一度スカートをめくりあげた。

「いやああああああ・・・・!」

 さらされた尻に、脚の間に、空調の風が吹きつけて来る。

「や・・・。お願い。それは、いや。スカートを降ろして。お願い。いや・・」

「うん」

 彼は、まったく頓着せず、下着をつけていた時の行為をもう一度繰り返し始めた。だが、あの時に肌をガードしていてくれた布地はもうない。直に触れてくる繊細な指の動きが、私の身体に嵐を呼び覚ます。あまりの気持ちよさに、私は、ただ、身体を固くしているしかなかった。

 ガチャと、ドアが開く。私は、ギュッと目を閉じた。目を瞑っていれば、起きた事を無かった事にできるかのように。石のように硬くなって、何も感じないで、何も見ないで、何も知らないふりをしようとした。

「お飲み物をお持ちしました。」



続く

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    2009

05.28

狭間に・・・8

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 ぐいっと引っ張られ、極限まで薄くなった布地の下に冷たい刃物が滑りこんでくる。あっと、声に出して言う暇もなくパチンと閉じ合わされたハサミの間で、細くなった布地は断ち切られてしまっていた。張力が無くなった下着が、だらりと下がって肌の上に落ちる。
 慄然とする現実。切られてしまった…と云う、現実が、床を見つめる目の中に広がって来る。甘い押し問答も無く、やさしく焦らされることも無く。ぐいっと引っ張るだけで私の下半身は、何一つ覆うものが無くなっていた。

 自分の姿勢が、どうやっても何も隠す事が出来ないものだという事はよく知っている。うつぶせに尻を突き上げた身体は、いくら、脚を閉じ合わせても何も隠せはしない。急にやって来た全てを晒しているという恥ずかしさが、ポンと私を、崖の下に、突き落とした。

急降下。

 軽く、ダイブ。快感がスライダーのように滑り落ちてフアンッと、身体を宙に浮かせる。

 「たまんない。」

 わざと蓮っ葉な舌足らずのセリフを、音に乗せて見る。私が何をしているのか気がついた彼は、くっくっと、押し殺して笑った。

「たまんないなぁ。・・・そんな、とこが。」

 それから、何度も何度も触れるか触れないかの距離を保ちながら、撫で上げてくれる。

 彼は、私のスカートを一度降ろすと、椅子から、滑り下りて、私のそばに膝をついた。新たな縄で、今度は膝を椅子の足に縛りつける。ぐいっと引っ張って、ひざの内側を、椅子の脚の外側になるように押し付ける。それは、考えているよりも大きく足を開く事で、それが、また私を落ち着かなくさせた。
 四肢を椅子に縛りつけられて、私はもう、なにも抵抗できない。その事を確かめようと身体を椅子から浮かしてみた。わずかに腹が浮く程度、ぴったり貼りついた、身体がはがれる程度。そんな不自由さを楽しんでいると。くすくす笑いながら彼は立ちあがった。

「何か飲み物を注文するよ。なにがいい?」

 え?注文?

「なにがいい?」
 椅子に座りなおした彼が、メニューを開いている気配がした。私は、椅子にうつ伏せに縛りつけられていて、起き上がれない。飲み物を飲めるような体勢じゃない。いや、そんな事は全く問題じゃなかった。注文するという事は、店員が部屋の中に入ってくるという事だ。椅子にうつ伏せになって起き上がれない私の格好を見るという事だった。

 私は少なからず、パニックになった。彼の前でだけこうしているのだけでも恥ずかしいのに、そうしている自分を全くの赤の他人に晒すという事は考えても見なかったからだ。見せる事に私は全く興味が無かった。だから、それをしたいと思った事がなかった。しなければならなくなるなんて考えても見なかった。

「いや」

「ん?」

「人を呼ばないで、見られるのは嫌。」

「ああ、そうか。」

一瞬の沈黙。不安。安堵。ないまぜになった恐怖。

「ん、そうだね。」
    ・
    ・
    ・
    ・
「けど、君には選べないだろう?」



続く
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    2009

05.26

狭間に・・・7

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 言われるままに、また、膝をずらして行く。吐息が熱く、頭の中が燃えるようだ。足を開くだけで何でこんなに恥ずかしいの。ただ、押しつけるように乗せられただけの彼の掌が、身体の中心に向かって、快感を呼び覚まして行く。
 足を開こうとする身体の動きが、頭の中で、火花のようにスパークしてくる。足の付け根を男の中指がゆっくりとなぞりあげる。ぞくぞくっ、とするような、身体じゅうに広がる快感に、私は、また、大急ぎで足を閉じた。閉じたり、開いたり、それが、だんだんとうねりを作りあげ、そして、感じてしまうのだ。

「こら、言う事をきかないな?悪い人だね。」

「・・・言う事を聞かないなら、お仕置きしないとな。」

 ああ・・・、私は、その言葉を頭の中で反芻した。何度も何度も、味わいつくそうと。しゃぶりつくそうと。
 優しく動いていた手が、いきなりぐいっとストッキングを引っ張った。繊維が引きちぎられ、ビリビリビリ・・・っと、裂けていく。
 蒸れて、汗ばんだ素肌に、空気が直に触れる。伝線して、いく、ストッキングの立てる音が煽情的に胸に響く。私は、ギュッと膝をつぼめて、そうさせまいとする。彼の手が、乱暴に動いて、私の肌を覆う、それを引っ張った。

 男にストッキングを破られる。引っ張られて無理やり脱がされる。ぼろ布のようにわずかに残ったその隙間から、掌が入りこみ、ぴったりと足をなぞりあげる。
 その行為の間、私は、身体を椅子のシートに押し付けて、椅子の足を握り締めて堪えた。
 耐える?
 違う。いや、違わない。男の与えた行為の、あまりの、刺激に、私は、くるめきながら、引きずりまわされ、自分の中を吹き荒れる、感覚を味わいつくそうとして、必死に、椅子にしがみついていたのだ。
 身体も、心も、その感覚も、どこかへ吹き飛ばされそうになっていた。

 素肌の上を乱暴に、掴みしめ、傍若無人に撫で廻した手は、最後に、一枚だけ残った下着のへりの所へ戻って来た。ぴったりと身体に貼りついている、薄い白い下着。濡れて、形も露わに貼りついているだろうそれを見られている事が、じっとしているのも耐えがたい恥ずかしさになって、私を突き上げて来た。
 ひっくり返した掌の、人差し指の先が、するりと、パンティの縁を越えて潜りこんでくる。ぐいっと引っ張って、ぱちんと離す。

「濡らしてるね。」

 言わないで、そんな事、わざわざ言わないで。それとも言って欲しいのか。言葉は、甘い恥ずかしさだけでなく、みじめな気持を呼び覚ます・・。気持がすっと冷えて、私は起き上がろうと椅子をギシギシ鳴らした。
 彼の手がもう一度、下着の縁を引っ張った。

「切るよ。」
 
 切る?言われた事が頭にしみこんで形を成すまでに、時間がかかった。下着を切る?そんなことしたら、帰りはどうするの?下着を履かないままで帰らないといけない。ストッキングはすでに残骸になって、床にぶら下がっている。

「いや、切らないで。」

「ふむ、脱がしてほしいの?」

 その通り、帰りは、ちゃんと、服を着て帰りたい。切らないで。切らないで。そう思いながらも、じゃあ、脱がして欲しい、と、言葉にする事は難しかった。舌の上を、頭の中を、言葉が、行ったり来たり、恥ずかしい事を言わされようとしている。その事態に、思いが乱れた。

 恥ずかしい事を言う事ではなく。相手が言わせようとしている事。それを受け入れようとしながらも自分が反発している事。そんな位置に、自分達がやっと辿り着いたのだという事。混乱が、私の中へ、奔流となって溢れ出していた。
 長い、長い、夜に、恋焦がれた場所へ、今、自分が辿りつこうとしているのだという、想いが急激に、突き上げて来て、私は目が眩んだ。


続く
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    2009

05.25

狭間に・・・6

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「分からないのがいいの?」
「ええ・・・それに・・・恥ずかしい。」
「恥ずかしいの・・・好き?」
「嫌・・・・好きじゃない。」
「よかった。」

 彼が、ちょっと笑った気配を感じて、私はほっとする。何でほっとするのか分からないけれど。彼の低い声が、彼の胸の中で震えるのを感じて、それで、私は安心した。そんな事で安心する自分がちょっとおかしかった。腹ばいになって、椅子に腕を縛りつけられて、男に、尻を触られているのに、安心する自分が、おかしかった。

 そう、乗せられていただけの手がゆっくりと円を描くように動きだしていた。彼の手の温かみが、広がって行く。お尻の上全体に、身体の上全体に、心の隅々に。
 ふっとその手が離れると、スカートの下へ潜り込んできた。テロンとした生地のフレアスカートは、男の手をなにもふせぎはしない。ストッキングの網目の手触りを楽しむように、腿の付け根から尻の上を撫でまわす。それから足の間に潜り込もうとする。隠しておきたい場所へ。ぴったりと閉じた足の間へ。

「手が入らないな。」

 入らないとは言っても、その場所に触れられるのがガード出来る訳ではない。膨らみや谷間の上を指先は、気まぐれに、移動した。熱くなり、膨れ上がっているだろう私の身体はそれだけで、気持ちよさに震えた。

「触りやすいように、足を広げて。」

 私は、息を呑む。相手が触られるように、足を広げると云う行為を、自分からすると云う事に。羞恥がこみ上げてくる。広げていても、閉じていても、何も変わらない。変わらないはず。そう言いきかせても、羞恥は、広がるばかりだった。私は、喘ぎながら、膝の位置をずらした。

「もっと。」

 膨らみを摘まんだり、擦ったりしながら男が要求する。その要求に応えて、もっと触りやすいように足を開く。まるで、淫売のように。自分を貶めて行く。それでいて相手の態度は、静かで、手の動きは優しい。指の先をマーブル模様を描くようにゆらゆらと揺らめかせながら、裏返した爪の先でストッキングの縫い目を辿り、円を描く。

 多分、濡れて来ている。布地は湿ってきている。息が弾んでくる。身体が熱く火照って来る。それを知られてしまっている。知られるように自分から差し出したのだと思うと、それが来られ切れないほどに恥ずかしかった。我知らずに足を閉じようと、力を込めてしまう。

「こら、閉じちゃだめだ。」

 手の動きが止まる。彼は掌を、覆うように、その上に乗せた。
「開いて、もっと、大きく。」

「もっと」

「もっとだ。」


続く
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    2009

05.23

狭間に・・・5


 キラキラと光る水の流れが落ちてくる。ホールの前の滝が、水しぶきを上げていた。自分の中に充満して弾けそうになっている音楽に身を任かせ、ぼうっと立ちつくす。アンコールの拍手で手が腫れてしまった。ギュッと握って、ちょっと、腫れぼったい感触を楽しんだ。

 手が伸びて来て、腕を掴むまで、その人の存在に気がつかなかったのは意外だった。はっと思って振り返ると、もう、その存在感に、圧倒されていた。何度も思いかえし、何度も、反芻したその掌の熱さ。

「どうして、電話をくれなかった?」

 自分の心臓の鼓動が、急に大きくなったのが分かる。それが自分に聞こえるのが。
 私が電話をして来るのを当然のように待っていたの?本当に?ちょっと眉を寄せて、いぶかしげに覗きこんでくるその表情を見つめていると、責められて当然のような気がしてきた。けれど、私と彼は、ただ、カウンターの前ですれ違っただけではなかったのか?

「君は、何も感じなかったのか?あれきりでいいと思ってたの?」

 語尾がかすかな苦痛に掠れて消えた。この人は、すれ違っただけの私を失ったと思っている。惜しんでくれている、私は、腕を掴まれただけの相手に何もかもゆだねきって身体を預けていた。それが当然のように。初めから決まっていたかのように。
 電話したかったの。でも、出来なかった。怖かった。扉を開けるのが。そして、いつか、それを閉めるのが。言葉にしなかった思いが、身体の震えになって、溢れた。

 後から何度思い返してみても、私も、男も、自分達が求めていたものを一度も口にしなかった。なぜ、そんな事が出来たのだろう?どうして私を見つけたの?分からない。ただ、見つけた。そして、間違いないと思ったんだ。お前も感じただろう?不思議に思っただろう?見つけて、捉まえた。そして、失いたくないと思った。

 彼の詰めていた吐息がこぼれた瞬間、ぐいっと腕を引かれた。私は、まろびながら、相手の腕の中につんのめった。

「今度は、黙って行かせないよ。」

 ドアを開けて、後悔するだろうに。必ず、後悔するだろうに。



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「その背もたれの無い方の椅子にお腹を乗せて。」

 私はためらう。そうすると云う事は、彼の物になると云う事を受け入れるって事だ。事が始まってしまったら、嫌は通らない。私が恥ずかしがる事、嫌がる事、苦痛に思う事。そんな事の上を綱渡りして行くために、私たちはここにいる。

 3度食事をし、3度目の日にキスをした。4度目の今日。駅前で待ち合わせ、手をつないで雑踏の中を横切り、入ったカラオケの個室の中で、私は、カバンの中から縄を取り出した彼の前に、いた。

 このためらいと、不安が、私の望んでいたものなのだろうか。できるか、出来ないか。本当に自分はMなのか。その迷いを振り切ってシートの上に腹ばいになった。床についた、右手を彼が掴み、手に持った縄で椅子の足に縛りつけた。そうして反対の手も・・・。

 黙って縄を巻き付け、結び目を作る手慣れた彼の手の動きと、しん、と、変わらない彼の表情を見つめる。ギラギラした男の欲情のかけらもない、静かな横顔。本当に?本当に私を欲しがっているのだろうか?3度の逢瀬に、お互いに交わした言葉は、目の前にいる男とは何の関係もないような気がしてくる。
 目を閉じて、男が、腕を掴んだ、あの瞬間を巻き戻した。再生。リピート。コマ送り。一時停止。腕を滑って行く縄が、男の掌のように肌に吸いつく。再生。リピート。コマ送り。一時停止。熱い塊が喉の奥からこみあげてくる。

 起き上がった彼が、私の身体の横へ背もたれのある椅子をくっ付けてから座った。お尻よりも少し下の方に、足を私の頭の方へ向けて。椅子の上にうつぶせになった私には頭を振りむけない限り、床と椅子やテーブルの脚や、そして、彼の靴しか見えなかった。彼の右手が私のお尻の上に乗せられる。

 スカートの上からとは言っても、びくっと、反応してしまう。心臓の鼓動がさっきよりも大きく、早く、リズムを刻むのが分かる。彼のぬくもりがじんわりと、何枚もの布を隔てて伝わってくる。私は、目を閉じて、彼のその手のぬくもりを味わった。ただ乗せられた温かい手の、私の主となるはずの手。息苦しくなり、口を開けて、空気を吸い込んだ。

「どんな気分?」

 どんな気分だろう。私は自分の気持ちの中を手さぐりする。どきどきと甘い不安。何をされるのか分からないって事が、もう逃げられないのだと云う事が・・・甘い。次に起こる事を待ち望んでいるようでいて、恐れている。その恐ろしさが甘い。そんなのって変だろうか。ぴったりと、とじ合わせた足の間が、充血して熱くなる。ギュッと力を入れるだけで、心地よく、自分が、欲情して来ているのが分かった。

 恥知らず。

 自分に向かって言ってみる。きゅっと、あそこに力を入れて、その甘い余韻が広がるのを確認した。

「怖いわ。」
「どうして?」
「だって・・・」

 言葉がのどに引っ掛かって、私は、つばを飲み込んで息を整えた。そうしている事を知られる事が恥ずかしかった。

「何をされるか分からないんだもの。」


続く
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    2009

03.23

狭間に・・・4



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 自分の感情を理論だてて分析し、並べて、整合性を求めたがる。あるべき姿にこだわって、正しいと間違ってるの間をうろうろする。けれど、根底にある「基準」が自分の感情では、正しさを求めても意味はない。隠していた「わがまま」が浮き彫りになり、まとってる倫理感との矛盾が、自分自身の中で争うからだ。
 長い間、行動規範にしてきた倫理感は、無視すると、恐ろしく居心地が悪い。時々、どちらが自分の望んでる事なのか、どうするのが自分の本当の性格なのか・・・と、分からなくなる事がある。
 習慣通りに振る舞うと、自分が望んでいるものは手に入らないのが分かっているのに、繕う方が楽なのだ。自分が「正しくあろう」「人に優しくしよう」として失ったものが、いつまでもいつまでもじりじりと、身体の内側を焦がすのが分かっているのに、どうして、習慣を捨て去ることができないのだろうか。

 そうして、気がつかないうちに、私は、自分の中の焦燥に捉われてゆく。最初に自分で引いたラインを踏み越えて、行動が破たんし始める。望んでいたもの。こうありたいと願っていたもの。少しずつ育ててきたもの。大事な物をすべてひっくり返し、叩き壊して、もう、自分のものではないと納得させようとする。

 小さな子供が、欲しい物を前にだだを捏ねるように・・・。

 「だだを捏ねる子供をあやしてもらいたがる欲望。」それが私の行動を支配し始めると、並べていた理論も、いごこちのいい位置を守ろうとする意識も、誰かを愛していた感情もどこかへ行ってしまう。

 破綻が始まる。

 受け止めてもらいたい。思いっきり相手を傷つけて、ひっぱたかれて、揺さぶられ、引き裂かれ、むさぼり喰われてしまいたい。考えたり、迷ったり、判断したりすることを、何もかも相手に委ねて大声で泣いてみたい。逆らって、もがいて、押さえつけられて、正しく選び取ることを放棄し、悲鳴をあげ、泣き叫けびたい。
 混沌とした自分の状況を、相手の秩序に任せて、甘い言葉と痛みの中に、何もかも忘れ、力を使い果たしてぼろぼろになった私を、なんでもない、大丈夫だから、と、優しく揺すってくれる相手・・・。
 どうして、そんな時に、欲情するのだろう。ただの帰属意識。ただの依存。ただの甘えだったら、もっと簡単なのに。優しくしてくれる相手に、もしくは支配しようとする相手に従うだけだったら・・・。

 私は、布団を頭の上まで引っ張り上げた。泣きそうになってるのに、涙は出ない。喉の奥に詰まったものが突き上げてくるのを感じならが、私は、自分のしゃくりあげる声を聞いていた。


続く
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    2009

03.18

つまづき


「さびしいのが似てる・・・
優しくされるのが苦しいのも
そんな自分が愚かだと知ってるのも」

新聞紙の縁に走り書きされた鉛筆の文字に
動かされた気持が残ってた
なぞって、読み返して、声に出して呟いて
辿る 繰り返す 迷路を曲がる
階段を昇り 窓を開けて 乗り出した宙
振り返る 立ち止まる
私はここにいるはず

ぽんっと、とんじゃダメだよ
こだまは帰ってくる物だから








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    2009

02.12

狭間に・・・3




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 ベッドヘッドに掛けた縄で、手首をひとまとめにして縛られた。緩く回されて、締まらないように縄止めしてある縛めは、お飾りに近い。けれど、その飾りがあるだけで、私は満足だった。自分で、縄を引いて、その飾りの存在を確かめる。愛撫にすっかり火照った身体を、うっとりと、夢心地にまかせて伸ばし、くつろいだ。
 うつぶせになった、足首に手が掛る。ぐいっと、引っ張られて、足にも縄が巻きついてきた。どうやら、今日は、足も縛るらしい。それは、結構、珍しい事態だったので、私は、少しわくわくする。ちょっと逆らって、少し喘いで見せて、それから、広げられた足を閉じようと試みる。足が閉じられない事を確認して満足するために。

 人型にベッドにくくりつけられた私は、ちょっとだけ不自由になった身体をもう一度伸ばしてから、もぞもぞと、居心地のいい場所を探して蠢いた。
 ぱらり・・。身体の上をゴムチューブを束ねた、お手製の簡易バラ鞭が移動した。房が短いので、あまり音がしないし、扱いやすいので、最近の彼のお気に入りだった。叩く場所によっては、かなり痛い。場所によらなくても、強く打てば、しっかり痛い。
 部屋に流れていた音楽のボリュームが少し上げられた。おや、本気で叩くつもりらしい。たまに気が向くと、彼は、そう云う事をする。
 ビシッ・・・。第一打目が、身体の上に振り降ろされる。まだ、素の状態の私は、その痛みに軽くすくんだ。

 どうして。どうして、打たれたいと思うんだろう?それは、私自身、いつも不思議のタネだった。痛みは「痛み」で、それ以上でもそれ以下でもない。私たちの関係では、特にそうだ。従うことも無く、支配されてもいない。私が望み、彼が与える。望んで差し出した身体には、縄は、あっても無くても同じだ。
 それでも一回目のターンの間、私は、身体を捻ったり、叫んだり、もがいたりする。実際に痛くて、ゴムチューブが身体に当たる乾いた音を、楽しむ余裕もない。
「いたっ・・。」
 小さな悲鳴。痛い、痛い、と、泣いて見せて、身体を捻って、痛みを散らす。ほどほどの打擲だから、わずかでも動けると云う事は、痛みを耐える事もたやすくなる。身体中がひりひりと赤剥けになってくる感覚が、徐々に広がって行く。

「おしまいにする?」

 なぜ、そんな事を訊くのだろう?私は必ず「続けて欲しい。」と、答えるのに・・・。それでも、答える前に私は必ず躊躇う。痛いのには間違いなく、なぜ続けるのか、分からなくなる。やめてと言って、終わりにしてしまえば、もう、痛い目に会わないですむ。それでも私は、必ず「もっと」と、答える。

 2回目のターンはさっきよりも強い。叫ぶ声も、大きくなって、身体は勝手に踊り出す。私はこずるく、あまり痛くない場所へと打擲を誘導しようと身体を捻じる。毎回、鋭い痛みに泣くよりも、ちょっと、休憩が入った方がいい。もくろみは、場所を変えようとする彼の意図とすれ違い、大きな悲鳴を上げる羽目になったりする。
 もう、ちょっと。もうちょっと。後、少しでおしまいだから。これは、そんなに長くは続かないはず・・・。
 2、3打、打っては、その赤く火照った場所を、なぞるように掌が滑る時、くすぐったいような感覚が高まって、打ち寄せてぶつかり跳ね返る。波しぶきが砕けて引いて行く時には、裏返ったそれは快感へと姿を変える。心地よさに酔い。陶酔に揺れる。

「おしまいにする?」

 迷う気持ちがない訳じゃないのに、私は結局続ける事を選ぶ。叫ばなくてはならないのが分かっているのに、続ける事を選ぶ。叫び声が湿ってきて、泣き声混じりになるとしても、やっぱり続ける事を選ぶ。

 3回目のターン。痛みが火花のように散って、その余韻が消えていくのを楽しむうちに、その向こうに、身体の反応が変わって来るのが分かった。もしも、本当の鞭だったら、こんなに簡単に、見えてくるはずはない。私は本気で泣き叫び、二度と打たれたいと思わないはずだ。心の底では、そう確信しながらも、最初のターンの痛みはもうそこには無い。
 すっかり腫れあがった身体に、強く打ちつけられるゴムチューブは、絶対にさっきよりも強いはず。もう、おしまい。もう、終わり。やめて。もう、やめて。心の中で繰り返しながらも、身体はもう逃げない。のけぞりながら、貪欲なまでに、痛みの向こうに高まってくる物を味わいつくそうとする。

 ぱんっと、弾けて。今、弾けて。ほら・・・・みえる・・・はず。

 くるり・・。指先で廻した名刺の上に、澄まして並んでいる、男の名前。この男が私の身体に手をかけたら、私は平静ではいられないに違いない。恐怖で、固くなり、与えられた痛みに逃げ回り、無様に泣き叫ぶのだろう・・・。
 目を閉じた、その闇の向こうにある物を、私は欲しいと思っているのだろうか。痛みは、ほどほどで無くても心地よいものだろうか。そんなはずはないだろう。「痛み」は、やっぱり「痛み」。心地よいものであるはずがないのに。私は、苦笑して、自分の中にある思い出を、そっと押しやった。


続く

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    2009

02.11

狭間に・・・2




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「もし、気が向いたら。」

 男は、そう言って、名刺を差し出した。
 素性の知らない女に、こんな事して、平気なんだろうか。一瞬、そう思ったほどに、ちゃんとした肩書の名刺だった。そう思ってから、自分が、自分の事を、不用意に接触するのが危険な女だと、位置付けている事に思わず苦笑した。今までは、ずっと、私の方こそ、知り合う男に用心していたのに。

 家に帰って、ブラウスを脱ぐと、掴まれた腕に赤く男の指の跡が残っていた。指でそっとなぞると、鈍い痛みが甘く甦る。
 温かい風呂に、ゆっくりと浸かり、髪を洗って軽く乾かすと、さっき考えていた通りに布団の中にもぐりこんだ。

 眠れない夜に、布団の中に居る時の、あのしんどさはどこから来るのだろう。不安が凝り固まって実体化し、胸の上に乗っているような重苦しさ。じっと同じ姿勢でいられなくて輾転反側する。闇が、たわんで、縮んでくる。私を押し包むように。反対に部屋の四隅が遠ざかる。身体が布団に沈み込んで行く。歯を噛みしめて、シーツにしがみつく。その息苦しさは、起き上がらないと消えない。
 耐えきれず、諦めて、PCの前に座る。モニターの灯りを見つめていても、いたたまれない焦燥感や恐怖はあまり変わらないのだけれど・・・。その方がどこかしら楽なような気がしてしまう。胸の上に乗っていた不安が、背中へ移動するだけなのに、不思議だ。
 ペーパーウェイトに使っている剣山の上に、掌を乗せて、ゆっくりと押し付ける。自分でコントロールする「痛み」は、なぜ、痛みとして認識できないのだろう?手を持ち上げ、ぽんぽんと自重に任せて打ちつけると、先端が鋭くなったと感じる刺激の中に、自分の中に重苦しく固まっていたものが溶けだして行く。薄く挽く剃刀の下の白い肉に盛り上がる赤い血のように。現実感が戻って来る。私はどこへ行っていたのか・・・。ずっと、ここに居たはずなのに。

 だが、今夜はそんなあれこれについて考えなくてもいいだろう。潜りこんだシーツの中に、自分の温もりが溜まって行くのを待ちながら、私は、さっき起こった出来事を反芻した。腕に残っている、指の感覚とともに。

 「もし、気が向いたら。」

 気持は最初から、そっちへ向いていた。もしかしたら・・・。もしかしなくても、きっと。目を閉じて、そう言った相手の顔を、思い出そうとしてみる。だが、すでに、彼の顔の記憶は、曖昧になっていた。暗いバーの中で、相手の顔などよく見ていなかったせいもある。けれど、あのぬくもりは憶えている。もたれかかった男の身体の、服の下の硬い筋肉。
 男の事など何も知らないのに、その腕の中で、泣き叫び、そして、しがみつく事を考えて、私は身体を熱くしていた。
 ほんとうにそうなのだろうか?彼の言う気が向いたら・・・は。
どこかしら、否定して、消し去ってしまいたがっている。いいや、それ以上に、自分がそれを希っている事が怖かった。選んでしまうと、もう、後戻りはできないような気がした。偽っていた欲望が、ぬっと顔を出した。その熱さに私は、焼かれようとしていた。


続く
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    2009

01.31

狭間に・・・1


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 焦がれていたものが目の前にあって、自分が手を伸ばせば掴めるかもしれない。そう、思うと、今まで見ないようにしてきた自分の気持ちや、思いこもうとしていた事実が嘘のように思えてきてしまう。同じ事でも、表から見るのと、裏から見るのとは違うように。同じ出来事も、幸せと思う事も出来、不幸だと思う事も出来る。一杯のコップの水でも満ち足りて、身体じゅうに満ちた水に感謝する事が出来る事もあるのに、一杯では満足できずに泣いてしまったりもする。
 自分が、気が向いた時に、水を手渡すのは、誰でも出来るが、常に求められるとうっとおしい。そうして、すれ違いが始まり、不平不満が積み重なり、それを削除する事は、難しくなる。何もかもひっくり返して、自分を傷めつける以外に、逃れられないような気がする。

 そんな日常の切れ目に、あの人に会った。ある白く煙る地下室にある、小さなバー。カウンターに一個とばしに座って、マスターを介して話をするような、そんなバー。
 耳元で囁かれたら、どんなにすてきだろう・・・と、思うような低くて甘い声をしている人だった。時々、ちらり、と、こっちを見る以外は、素知らぬ顔をしてグラスを傾けている。それでいて、私の言葉をしっかりと聞いていて、ちゃんとうなずいたり、問いかけたりしてくれた。
 行きずりの人。私の事を何も知らない人。私のために何もしなくていい人。私自身が、何も気にしなくていい人。ちょっとだけ、心の中を打ち明けて、ちょっとだけ、寂しいと、言ってみる。ちょっとだけ、うなずいてもらって満足し、ちょっとだけ、いや増した寂しさを噛みしめた。
 誰かの優しさの向こうに、これが、あの人だったらどんなにか幸せだろう・・・と、思うと、胸を締め付けられるように苦しい。
 何でもない振りをして、言葉を重ねるのがたまらなくなって来て、私は席を立った。家に帰って、一人で泣こう。布団にくるまって、自分を憐れもう。ぼんやりと、欲望を反芻し、そのまま穴に落ちて行くのに任せよう。

 彼の後ろを通った時、くるりと椅子が回わった。立ち上がった今日初めて会った人が、私の腕を掴んだ。驚いて、眼を瞠はる。そんな事をする人には思えなかったので、何の反応も出来ず、私は彼の顔と、掴まれた腕を、交互に見つめた。
 一瞬強く引いた後に、彼は私の腕を握ったまま、私の瞳を覗きこんできた。私は、ぽかんとしたまま、彼の顔を見つめた。

 どうして?どうして分かったんだろう。私の考えている事が。どうして分かるんだろう。彼の考える事が・・・。

 彼は、ちょっとだけ間をおいて、私の腕を強く握りしめた。強い圧迫感と、痛みと、かすかな恐怖と、安堵。私の足りないものを、簡単に見抜いた。私が、欲しがっている事を確認した。
 そして、誰にも分からないように、それを、埋めてくれようとしている。見抜かれた恥ずかしさよりも、圧倒的な安堵感に任せて、私の腕をつかんでいる彼の腕の引くに任せた。暗いバーの、誰にも見えるカウンターの前で、それなのに、誰の視線にも止まらず。駆け抜ける鈍い痛みに、身を任せた。

「大丈夫。泣かないで。平気だから。」

 想像した通り。

 今、初めて、耳元で囁く彼の言葉に混じる吐息を、肌に感じながら、私は、泣いてもいいのだと分かった。大丈夫じゃなく、平気でもない。そして、泣きそうになっている私を、彼はそのまま抱きよせた。始まりの夜に・・・私は、闇がどんなに甘いかを知った。

続く
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    2008

11.19

まがいもの



大事にしていたものが手の中で砕けた
きらきらきらきら・・・・
無数のかけらになって空に散り
幻を残して風に消え去る
手を伸ばしてつかみ取ろうとして
作った切り傷から流れる血はいつまでも止まらない

どこへ 行ったのだろう?
確かにあったはずの物
私の手の中にあったはずの物
答えるものは誰もいない

握り締めて流れる血を啜る
それから、よろけながら歩き出す
欠片を探そうとして
ぽたぽたと、血を流しながら・・・

欠片はいくつも積み重なり
万華鏡のように世界を彩る
きらきらと光りで埋まって行く空間に
影を見つけることは出来ない

色があったはず
確かにあったはず

ハレーションのせいなのか
それともただ失くしただけ?

決して代わりになるはずのない幻は
涙色をしている


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    2008

10.13

足台


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小さい子供
丸くなって眠れ

あなたの足の下で
床の固さを知り
小さくなって眠れ

灯りが欲しくて
いつもいつも
入りこんだ
離れられずに
寄り添っている

眠れ・・・
夢を見ないように
夢で出会えるように






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    2008

08.09

ちりちり 日差し


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夏の暑い日は

虚ろ

ぽっかりと開いた穴

白く霞んだ世界

滴り落ちる汗

張りつくような苦痛

取り残されたような

・・・止まった時間





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    2008

08.05

白黒


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絶望は 階段のように 少しずつ深まる
絶壁を落ちては停滞する
停滞しては また落ちる

諦めは静かに侵食し 
痛みは感覚を麻痺させていく
横ばいの移動は 
自分が深く沈んで行きつつある事を忘れさせる

一段

そしてもう一段

少しずつ狂って行く自分をみつめる
もう一つの目が映す世界は
白黒で色が無い

底へ辿り着くのは いつの日か
いや その時は もう
何も見えてないだろうけれど





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    2008

07.28

夜の散歩


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星が無い夜だったので
灯りを持って出かけました
ひたひたひたと
足音だけが聞こえる道のり

夜はねっとりとまるで溶けかかったゼリーのように
足元に吹き寄せる生ぬるい風に
不気味に揺れる 振動する 
そこかしこに溜まっている

ゆっくりと選んで歩く
踏み石は時々悲鳴をあげる

その悲鳴は自分のもののようで
いとおしく懐かしい

今は しっかり口を閉じて
心も閉じておきます
秘密は秘密のままに
謎は謎のままに
私の痛みは私の中に

そしてあなたの痛みは 私の中に

刃物を研いでおきましょう

この道のりの向こうにみつけるかもしれない
手枷足枷につながれた人を
切り裂くための銀の刃物を






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    2008

07.21

沈む、潜る、這いずる


さて、準備ができました
畳んで 結んで 動けない
待ち構えているその身体
切り刻んで差し上げましょう

何を望んでいるの
何で望んでいるの
あなたの持つ闇へ
切りつけた傷から漏れる月の光

自分を好きになってはいけない
誰も好きになってはいけない

ただ黙ってうずくまる
禁じられた言葉を
紡がないように

心の中で悲鳴をあげようと




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    2008

06.04


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照明を全部落とした部屋
机の上だけついた明かりの中へ
長い手が伸ばされて
車の鍵を投げだす

曲げられた細い指
節くれだった長い指
ガチャリ・・・っと、音を立てて
少し滑った車のカギは
明かりの中で止まって動かなくなる

止まった時間
止まった想い

こごった影
こごった愛

レコードについた傷
リピートされる
繰り返し
繰り返し
繰り返し

繋がれた私は 暗がりから覗き見る
鎖の距離だけ 近づいてみても
けして届かない 触れはしない
ただ痛むだけ 胸が痛むだけ
この痛みを消して頂戴
強い嵐のような 苦痛で

繰り返し
繰り返し
繰り返し
壊れるまで
感じなくなるまで



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    2008

05.14


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足の甲に ハサミが ささった

ドンって、音がして辺りが真っ白になった
繋がっていた日常が途切れる
昨日の次は今日
今日の次は明日
ずっと、続いて行くはずなのに 何も見えなくなった

周りの世界が遠ざかって行く・・・・
あなたの姿が遠ざかって行く・・・・

見えるのは鋏の鈍い光だけ
足の甲で震える銀色の光だけ

感じなかった痛みが
ゆっくりとはいのぼり私を侵食する
お腹を 胸を 首を 頭を・・・・

何も考えられない
すべてがからっぽ
あなたを好きだった事も
手で握れるほどに確かだった愛なのに
今は・・・・
揺するとカラカラと外れたネジの音がする

鋏を抜いて訪ねて行こう
私の愛した人の所へ
血を混ぜ合わせて
陶酔に浸りたい
酔いしれてすべてを捨て去りたい

でも まず その前に

足の甲から「鋏」を抜かないと

ああ、この悲鳴を聞かないで
耳をふさいでて
決して 決して・・・・
私の声を聞かないで



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    2008

05.11

アリス


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うさぎを追いかけて穴に落ちた
時間が巻き戻されて世界がぐんにゃりと曲がった

どうしたの どこからきたの
どこへいってたの
なんでいなくなったの

いなくなってないよ
ここにいるよ
ずっといたよ

うそうそうそつきうそばっかり
死んじゃったのに
死んじゃったのに
おいていったのに
もういないのに

ううん 生きてても同じでしょ
ほんとの事教えたとたんに
ぴょん、と跳ねて
ひゅううううっと駈けて
いなくなる
届かなくなる
見つからなくなる
喋らなくなる
視線を合わせなくなる
捕まらなくなる

おいてけぼり
おいてけぼり
おいてけぼり

もう 起こさないで
ずっと眠っていたいの
穴の中でまるくなって
小さくなって
春と夏と秋が通り過ぎて
心が凍えてしまう季節がくるまで






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    2008

02.07

21の冬


 僕が彼女に出会ったのは大学三年の冬の事だった。大学に進学してすぐに父が急逝したために、僕は夜の時間のほとんどを、飲み屋のバイトをして過ごしていた。水商売があっていたのか、いつの間にか、実入りのいい店へ移動し続けているうちに、ハプニングバーの黒服をするようになっていた。夜の世界は、僕にとっては住み心地のいい青いライトで照らされた水槽の中で、ただ、たゆたっているだけで生きていける。
 生きるためと学ぶために、バイトをしてるのに、目的以上の金が入ってくるようになり、一年もたたないうちに、休みの日には、ほかの店でちょっと遊んだりしてしまうほどになった。同級生とは一線を隔した時間が、心地よく、21年間被って過ごした、昼間のいい子の顔の方が、無理をしているような気になっていた。まだ、まだ、物知らずのひよっ子にすぎなかったのに、錯覚とは怖いものだ。そして、僕は、彼女に会った。






 休みの日に通う、別のパプバーで、出会った彼女は、そんな場所にそぐわない、清楚なスーツ姿だった。年は30歳後半だろうか。どうして、こんな場所に紛れ込んでしまったのか。あまりにも目立っているので、一人で来ている男性が次々と彼女の横へ座っては声をかけて行く。おそらくは、カップルで入れる部屋に一緒に移動しようと誘っているのだろうが、彼女は堅い頬を緩めようとはせず首を振り続けた。
 一通りの男性が誘ってしまうと、彼女はポツンと取り残された。それから、どうするつもりなんだろう・・・と、一番壁際のスツールの上で、彼女を見つめていた僕の方へくるりと身体を回した。ぶしつけな視線に気が付いていたのだろう。斜めになって壁に寄り掛かっている僕をまじまじと上から下まで念入りに眺めまわした。






 ずっと、見ていたんだから、見られても文句の言いようがない。お互いの視線が絡み合って、みつめあう。彼女から見れば、今まで彼女を誘おうとしてた男たちと違って、僕なんか子供も同然だろう。だが、しばらく見つめあっただけで、一言も交わさないうちに、彼女の傍に行くべきなのだと分かった。
 別に、彼女が視線や態度で誘った訳でも無く、そばへ来ていいと示したわけでもなかったのに、当たり前のように立ち上がり、当たり前のようにその隣に座った。だから、どうという事もなく。ただ、並んで座って飲んでいるだけだったんだけど・・・。






 その日のうちに、ホテルへ行った。

 彼女は、移動する道の途中で僕に「縛られたい」と、打ち明けた。後から思うと彼女はいったい僕をなんだと思っていたんだろう、と、すごく不思議になる。僕は背こそ、まあまあ高かったが、取り立てて人目を引くような容姿って訳ではない。つまり、どこから見てもただの20歳の男だったのだ。
 そんな男をひっかけて、いきなり「縛られたい」と要求したって、「縛れる」わけがあるはずない。あるはずないんだけど、偶然にも、僕はそれが可能な男だった。去年から勤め始めた自分の職場で、ハプニングの手伝いをするために、マスターがママを使って僕にある程度の縛りやプレイの手ほどきをしてくれていた。

 彼女は、昨年の秋に夫を亡くした未亡人だった。子供はいない。そして、彼女は、自分を縛ってくれる男を探しに決心して夜の街へ出てきた。それも、出てきたばかりの一日目。そして、拾った僕が一緒にホテルへ行く初めての相手。あまりに出来すぎだろう、それは。絶対、嘘に違いない。そう、思いながらも、やっぱり、嘘ではないだろうと云うのが、短いながらも夜の街で生きてきた僕の勘だった。





 一番近くにあるSMが出来るホテルへ連れて行った。言われるがままに縄をかけてやり、ベッドへ転がすと、彼女はじっと黙っておとなしく横たわっている。その横に座ったまま僕は、彼女を見つめた。目をつぶっておとなしくしている彼女の腕は後ろにくくしあげられている。その指が時々もぞもぞと動く。だんだんと色が変わってきて、だんだんと痺れてきて、だんだんとつらくなる。
 だが、彼女は動かなかった。動くのは後ろで縛られた掌の先だけ。そこだけがまるで生きているかのように、そこだけがまるで彼女自身だというように白くて細い美しい指は、彼女の苦痛を表してひらひらと動く。何かをつかもうと、ひらめき、抑え込んだ苦痛を発散しようとうごめく。





 大学を卒業するまでの一年間。僕は彼女と遊んだ。十日に一度、そのホテルへ行き、彼女を縛り、好き勝手した。主人とか下僕とか、愛とか、恋人とか、全く無関係の無秩序な関係。セックスどころか、キスもしなかった。言葉すらほとんど交わさなかった。入口で待っている彼女を部屋に連れ込んで、服を脱がせては縛る。彼女はほとんど抵抗せず、かといって、従う訳でもなく、ただ淡々と身体を差し出してきた。
 縄が体に回り、締め上げ、身動きがならなくなってくると、彼女の身体はピンク色に色づいてくる。まるで、人形のように無表情にじっと固まっていた身体がほどけてくる。あえぎ、息づき、ほころび、膨らみ、花開くその様を、僕はいつもじっと見つめた。
 足を開かせる時だけ、彼女はいつもあらがった。

「恥ずかしい。」

 顔も頸筋も身体もまっかにして、厭がる。そこを膝を使って無理やり押し開き縄をかけて、もっとあからさまにむきだしにする。すっかり濡れそぼった彼女の花が、息づいてゆっくりと開いていく様を鑑賞し、それから、軽く触れてやる。手が近づいてくる気配に、彼女は息を呑み、身体を硬直させる。そして、その瞬間を待つ。僕の指先が触れ、痙攣と共に自分が達する瞬間を・・・。





 あなたが卒業したら、もう、こない。最初からそう云う約束だったから、別れらしい別れもなかった。自分の中でこれが最後だなと想い。彼女も何も言わなかった。ただ、最後に縄を解いていく時に彼女の瞳から涙が一粒こぼれた。僕がいなくなることを惜しんだ涙じゃなかった。相手もそれを知っていたし、僕も知っていた。逢瀬が三回目になった時に、彼女のために買った縄を揃えて巻くと、軽く結んで僕は横たわる彼女の傍に並べた。
 
 冬になるとその事を思い出す。僕は、あの後、新しい縄を何度も買った。


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    2007

12.19

エンドレス



まず小指
それから薬指
ぞして中指
もったいぶって人差し指 
最後は念入りに親指

茂った葉が落ちた後に枝を払った木のように
まあるくなったその掌を
押さえつけて
包丁を押し付ける

ぶつっ・・・と皮膚が裂け
ぐにゅううううっと肉が軋み
ごりごりと骨が鳴る

指のように簡単には終わらない

ごりごりごりごり・・・
鉄さびの臭いの中
世界が暗転し
足元の地面がたわむ
身体が床に叩きつけられる時
暗い穴の中へ
意識は速度をあげて
収縮しながら引きずり込まれる

落とした包丁がどんっと鈍い音を立てて
足の甲に突き刺さると
悲鳴の中に
ようやく夢は終わる

しかし 手首はまだついている

だから

また 機会のある時に
切り落とさねばならない






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    2007

11.28

ひみつ



鍵を掛けられる小箱に詰めて
決して、決して、開けられないように
閉じ込める

闇夜の道を辿って
森に埋めに行こう
深く深く穴を掘って
埋め戻した後を落ち葉で隠す・・・

埋めた事を忘れてしまおう
持っていた事も
全部全部無かった事に

けれど

秘密は箱の中で増殖する
行き場がなくなってお互いに共食いする
己の足を食べているように
ぶつぶつと泡を吹いて
くねる・・・

森の奥で聞こえないはずの悲鳴が
胸に響く
喰い散らす
ぽっかりと空いた空洞を

あの小箱を取り出す日を
手繰り寄せるために
私の手は血だらけになる 



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    2007

10.21

18の秋


 18歳という歳は、もう大人だと思い込みたい自負と、経験の無さを知られたくないと思う薄っぺらなプライドの狭間に過ぎていったと思う。一学年下のクラブの後輩の、憧れに縁取られた何の疑いも無い笑顔を、泣かせてみたいと思わずにはいられない欲望。それを、自然に表現するほどは、経験もなく、度胸も無かった。それでも、彼女のすらりとした立ち姿に欲望を振り向けてみたい・・・。そんな思いは抑えがたいほどに僕を支配して、居ても経ってもいられないような気持ちにさせるのだった。
 ちょっとした、冷たいそぶりや、残酷な言葉に涙を浮かべながらも、どこかもじもじとした様子で擦り寄ってくる彼女の瞳の中に、明らかな被虐の願望を見たのは、僕の思い込みだけじゃなかったはずだ。


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 どういう話からそんな事になったのか、もう記憶に無い。
「見せて欲しい。」
 その言葉に、真っ赤に染めた頬をためらいとともにうなずいた彼女も、いつ人が通るか分からないような、通りの壁に、僕が縄を掛けて彼女をくくりつけようとすると、顔色を変えて抵抗したものだった。
 少女のもがく身体を壁に押し付けて、無理やり縄を結びつける時、興奮しきった僕の手はかすかに震えていた。その硬いこわばりを彼女の尻にきつく押し付けると、まだ、一度も男に許した事のないという硬い蕾のような彼女は、かたかたと歯を鳴らしながらもじっと、膝をきつく閉じ合わせてこらえていた。






 スカートを捲くると、真っ白な綿ローンのかすかに透けた布に覆われた身体が現れる。恥ずかしさと恐怖のない交ぜになった感情に、身もだえしてみせる彼女は、まだ、一度も知らない暗い淵を辿っていくような悪い遊びへの期待と、それを上回る屈辱にはらはらと涙を零して見せたものだった。
 そんな物に、ほだされるほどの純な気持ちは、大人ぶっている子供の男にとっては、邪魔なだけだったのは言うまでもないだろう。むき出しになった下半身の、少女の尻をぴしゃりと叩くと、僕は1メーターほども下がって、腕を組んで彼女がくねらせる尻を見つめた。






「さあ、早くやって見せろよ。」
 悪ぶって、どすを聞かせた声に、彼女の肩がびくりと揺れた。いつ、誰が通るかわからない場所で、立ったままの排尿を強いられている少女は、縄でくくられた拳を握り締め、何とか決心をつけようと、身を揺すっていた。さっき、たんと水を飲ませてきたとは行っても、まだ、差し迫ってるわけでもない尿意に応えて、排尿するのは決して簡単な事じゃない。
「早くしないと人が来るぞ。」
「あ・・・。」
 うろたえ、思い乱れた様子で、ざらざらとした壁に頬を擦り付けながら、彼女は足を何度も踏み代えた。好きな男に羞恥をさらす事への躊躇いと、誰に見られるかもわからない恐怖が彼女を追い詰める。
 熱い吐息を拭き零しながら、彼女は、最初の会談を飛び降りた。


 そんな彼女に再会したのは、それから10年も経っていただろうか。固い蕾だった少女は、他の男の手によって、美しく咲きその絢爛の様を周囲に誇っていた。
 一言、二言。脅しただけだった。
 真っ青になり、震えながら、哀願しながらも、きらきらと被虐に濡れる彼女の瞳は、彼女がこの十年で変わりえなかった事を、はっきりと僕に教えた。






 蜘蛛が獲物を捕らえるように彼女を捕まえる?いや、そうではない。美しく蜜を滴らせ、蜂を誘う、咲き誇る女。惹きつけられ、囚われるのは僕の方だった。縄を手繰り寄せ絹紐を引き抜く。手繰り寄せる身体は、かってとは違いたよたよと熟れきっていた。
 青いレモンのようだった、体臭は、すっかり先ほころんだ多弁の花のように、僕の心を掴んで引きずり回すのに充分だった。






 逆らい、惑い、うなだれては、訴える。泣いては、俯き、そして抵抗する。愁嘆場を繰り広げながらも、徐々に、徐々に、男を引き寄せる美しい花。そらしたうなじに唇をなすりつけ、息も出来ぬほどに抱きしめてみる。縄をまといつけた身体がくなくなと腕の中で泳いだ。
 痛みに喘ぐ、その唇がぽっかりと闇に咲きほころぶ。あまりの艶々しいその美しさに、僕は、10年の失った月日を惜しまずにはいられない。






「やめて。許して。」
 婀娜な流し目のうちに、女が誘う。
「いやいや。お願い。誰にも・・言わないで。」
 その言葉は、私の耳には「晒して」と、聞こえる。あの秋の日にしとどに雫を垂らしながら、濡れた下着をこれ見よがしに突き出しながら。許して許してと泣いた少女。今や、恐ろしく美しく妖しい流し目で僕を誘ってくる・・・・。






 ・・・忘れられなかったんだろう?あの衝撃が、あの羞恥が、あの縛めの味が・・・・。もちろん、もう一度、味あわせてあげる。欲しいものは、何でもあげよう。明るい光の、日差しの中で、黒い下着に身を飾る。もう、君はあの頃の少女じゃない・・・。
「いやいや・・・お願い。」





 言葉に出さずとも、態度で示さずとも・・・君が求めているものは、分かっている。縄をしごいて胸を高鳴らせながら、繋いだ身体を撫で回し。身体を隠す布を引き裂いて・・・・。






 そうして、僕は一気に10年の時を越える。青年期の終わりに、僕を夢中にさせた美しい少女の、幻を追い、夢にたゆたう。君の満足をまかなって、思いっきり悲鳴をほとばしらせるためなら、僕のすべてを傾けよう。運命も、愛も・・・・。






君の鎖に繋ごう・・・・。


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    2007

10.16

嘆き





三日月の夜に森へ行くと
待っている女がいる
肉厚のナイフを研いで ぎらぎらと光らせながら
あなたの指を切り落とそうと

ぶつぶつぶつ・・・・って
落とされていく間 悲鳴をあげてはだめよ
じっとじっと我慢して
こらえていてね

覗き込む彼女の目が嬉しそうに笑う
それが見たかったんでしょ
彼女が好きなんでしょ

ぽろぽろと零れ落ちた指は
まるで白いイモムシのよう
鉄板の上で念入りに炒めて
猫にあげたいくらい

どうして 泣くの?
失ったものが そんなに大事だった?
お手紙を書くために
恋文を書くために




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    2007

08.28

皆既月食


 


青い月をみつめながら
緋い血が描く縞模様を
思い浮かべる 私は
甘い金平糖が大好きです
とっぴんぱらりん
こんころりん
取れない三日月
消せない夢
尾を引く悲鳴・・・
それから
熱くて苦い奪い取ったキス

ベランダで風に吹かれて
煙草を吸っていたあなたに
言えなかった秘密

あの欠けていく行く月は
そんな物を思い起こさせる



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    2007

08.09

18の夏


 18歳の夏、僕は忘れられない女にあった。その夏、形ばかりの受験勉強を理由に軽井沢へ避暑に出かけていた僕は、自分の部屋から隣の別荘の窓が見えることに気がついた。去年までは隣家との間をさえぎっていた大きな木が、枯れてしまって根元のところからばっさりと切られていたのだ。そして、その隣の別荘には、初めて見る美しい女性がやはり同じように都会の酷暑を避けてひっそりと過ごしていたのだった。


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 彼女に魅せられた僕は、家にあった双眼鏡を探し出して、別荘のありとあらゆる場所から、彼女の見える窓を覗いた。別荘に僕の食事のためにやってくる通いの家政婦が帰ってしまうと、大きな家は僕一人だけになる。家中の電気を消して見つからないように、密やかに。僕は窓から窓へと移動し、わずかでも彼女の姿が見える場所を探した。
 時には、我慢がならずにそっと隣家へ忍び寄り、あらぬ場所にいる彼女の姿を追い求めることもあった。恥知らずの所業だとは分かっていても、恋の熱に浮かされたようになった僕はやめることが出来ず、夜毎に悶々と眠れぬ時間を明かりの消えた窓の中の彼女の姿態を想像して過ごした。






 いつからだったのだろう。彼女がそんな僕の存在に気がついたのは。いつの間にか、彼女は窓の傍に寄り、そして見つめている僕に見せ付けるかのように、思いもよらぬ痴態を示し始めた。彼女のいる部屋のカーテンは開け放たれ、明かりが煌々とともされた隣家の窓から窓へと、彼女は移動する。その移動の度に閉められ、次の部屋へ移ると引き開けられるレースのカーテンが、はっきりと意思を示して僕を誘う。






 時折、僕の姿を確認するかのように視線を向けながらも、彼女はそ知らぬ顔で服を脱ぐ。窓に張り付き、高鳴る胸を押さえ、息を潜めて、猫のように闇を移動し、その姿を追い求める僕。震える指で双眼鏡を握り締め、露わにされる白いその肌が、濡れたように光を放つその様を、じっと見つめ続けた。






 僕が見つめ、彼女が見せつける。僕が仕掛けた行為だったのに、いつの間にか彼女が仕掛けた「げえむ」のように、僕は夜毎の覗き見の行為に囚われていた。明らかに、彼女は僕の存在を知っていた。挑発し、誘惑し、明かりに反射するレンズを見やってくる彼女のまなざし。
 誘うように、くねる身体。吐息をつく唇。脱ぎ捨てられる白い下着。僕は窓に張り付き彼女の姿を求める。僕がそこにいて、彼女がそれを挑発する。僕たちは、覗き、覗かれるその関係に没頭した。まったく一言も口をきかず、会ったことも無い男女が、二枚の硝子を隔ててのめり込む淫蕩な「げえむ」。






 ドアを開けて外へ走り出て、彼女の別荘のドアを激しく叩きたい。彼女をかき抱き、思いのたけをぶつけたい。何度もその衝動に捉われながらも、僕がそれをしなかったのは何故なのだったのだろうか。
 お互いに会った事が無い事が、お互いに何をしていると認めないことが、僕たちの危うい関係を、かろうじて支えているのだとなんとはなしに気がついていたからなのだろうか。






 一夜毎に強く、一夜毎に深く、僕たちはお互いの官能を高めていった。僕の視線は、彼女を淫らな遊びに熱中させた。おそらくは、幼い頃から厳しくしつけられ、お供無しには一歩も外に出してもらえないような人生を送ってきたであろう彼女の無言のお遊び。
 僕の妄想は、その彼女の熱い視線に絡めとられ、思い惑う。いつの間にか、彼女がそれ無しではいられなくなり、その首に繋がれたリードを持っているのは僕であるかのように・・・。






 彼女を縛りつけ、痛めつけ、自分だけのモノにしたい。いや、この夜毎の行為は、とうの昔に則を越え、この不義の関係はお互いの胸中を食い荒らしているのではないのか。愛おしいひと。僕だけの手の中で、痴態を晒す、慎ましいはずの女性。羞恥が溢れ零れ落ちる。桃色の吐息が見えるようであり、汗ばむ肌がうごめく様は、妖しい奇形の生き物のようにくねくねと悶え続けた。 その瞬間は、彼女は僕のモノであり、僕は彼女のモノだった。闇の中、夜の中、そうして僕らは「ひとつ」になった。触れ合うことも、確かめ合うことも無く、それでいて心の奥深くまで「ひとつ」に溶け合っていった。






 夏の終わり、高原の人々が地上へ降りて行く日。僕は彼女が定められた遥か年上の男の元に嫁いで行くこと聞いた。


萌ゆる 夏草 紫草の野辺 
流るる水は青き秋 月のかかりし藍は 夜空・・・
なべてゆかしきは春秋 歌に詠めるごとくあはれつのりて
羨ましや 我が心 夜昼君を離れぬ


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    2007

06.17

18の春

 思い出話をさせていただけますか?わたくしがまだ、駆け出しの縛り絵師の修行をしていた頃に、お世話になったお方の奥様のお話です。それは、それは、美しい方でございました。普段は着物を御召しになっておられ、すれ違う時にそっと会釈をなさるだけ。ほのかに香る着物に焚き染められている香の残り香にうっとりとさせられるようなお方でございました。

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 因果な仕事をしておりましたが、まだまだ、駆け出しですので、頭の中だけで絵に作り上げられるほどの実力はございません。
どなたかにモデルになっていただかねば、首のねじりも腕の位置も決めかねるような状態でありましたので、師匠の仕事場に、張り付いて命じられるままに、紙の準備をしたり、絵の具を混ぜたりする合間に、お仕事のために呼ばれてくる女性をそっと盗み見ては紙に写すような事をしておりました。





 ある日の事でございます。丁度、手配していました女性が、急に具合が悪くなったという連絡があり、師匠は奥様を呼び寄せられて、代わりを務めるように命じられました。もちろん、お二人のご様子からすると、それは初めての事とは見受けられませんでしたが、わたくしが内弟子に入ってからは、ついぞになかったことでございました。
 奥様は、真っ赤になられて、わたくしの方をちらりと見ると、すがるような視線を夫である師匠の方に向けられましたが、師匠はそれを分かった上で代わりをするように命じられている事はあきらかでございました。





 奥様は、溜息を一つつかれ、夫が要求するままに腕を差し出されました。手馴れた縄捌きであっという間に奥様は後ろ手にくくりあげられ、裾は愛する男の手で捲りあげられました。わたくしは息を呑み、震える手で紙を広げ、いつものように手早く作品に取り掛かる師匠の横で、手習いのように、美しいそのお姿を紙の上に写し取ろうといたしました。




 一枚、また、一枚と新しい和紙が伸べられていく毎に、少しずつ少しずつ、奥様の着物も乱されていきます。裾を捲られ、押し倒され、脚を拡げられ・・・・。裾除けをはだけられ・・・。絶対に男の目に晒されぬはずの女陰の影がちらりと零れます。
 奥様の溜息がかすかに漏れたような気がいたしました。ふと見ると立てられた膝は、細かく震え、背けられた首筋は赤く、そして、その身体から揺れる様に立ち昇る香の香りに、部屋はだんだんと熱くしめってくるかのように思えてまいりました。





『帯を解いて、襦袢になってくれないか。』
 一旦縄を解いた後に、師匠は、低い声で着物を脱ぐように命じられました。奥様は、もう、わたくしの方を見られませんでした。もう、わたくしは無いもののように、振舞われる事だけが、救われるただひとつの方法のように・・・・。ただただ、ひたすらに夫の横顔をだけを見つめて、奥様は帯を解き始められました。





 縛り絵の行き着く先が、どのようなものなのか、ご存知でいらっしゃったでしょうに。奥様は、決して、わたくしをさげてくれと夫に訴える事はありませんでした。
 ただ、一枚、新たな紙が伸べられる度に、苦しそうに眉を顰められ、辛そうにいやいやと首を振られるのでした。
 遂に、その素肌を晒さねばならない時が来た時には、奥様はしばらくじっと耐えるように俯いておられました。師匠はただ、黙って筆を走らせて、その羞恥に苦悩する奥様の表情を写し取られておられました。





 いままで、ずっとやわらかな絹の着物に包まれておいでだった、たおやかな女性の白い身体が、するりと向き身の卵のように現れた瞬間。あたりにぱあっと、香の香りが拡がりました。まるで、その香は着物に焚き染められていたのではなく、奥様の身体の芯から沸き立っているかのようえで、わたくしはただひたすらにうっとりとその香りをきくばかりでございました。




「いや・・・・。」
「恥ずかしい。かんにんして。」
「あなた、許して。」
 その後は、奥様は黙って耐えられなかったのでございましょう。ひと縄ごとにか細い声で哀願され、涙を振り零され、打ち震えておられました。
 白昼夫の前に素肌をさらす事さえも、考えられないような時代だったのでございます。絹のお蚕の中にずーっと大事に守られていた素肌を、弟子にしか過ぎない私の前にさらすだけでも地獄の羞恥だったはず。それを、縄をかけ、身動きできない姿を紙の上に写し取られなくてはならないのでした。





 食い入るように男二人の目が奥様を見つめ、ばらばらに引き裂こうとしているのです。わずかな身体のしなり、恥ずかしく震える乳房のふくらみ、尖ってくる乳首、喘ぐ平たく白い腹、そそけたつ陰毛。何も隠すことも出来ず、ただじっと、その身を差し出さねばならないのです。
 震えながら、羞恥を必死で堪える奥様の身体がだんだんと熱く、美しい朱色に染まり、うっすらと汗に濡れていくさまを・・・・わたくしは、未熟な腕で、できうる限り、一つ残らず紙の上に写し取ろうと必死でございました。






「ああ・・・・旦那様。お許し。お許しください。」
 奥様の足へ、縄を掛けられながら師匠の手が奥様の足の間に滑り込んでいくのが見えました。歯を喰いしばり身体を捻って逃れようとしても、あっという間にその指が二本揃えられたまま差し込まれ、ゆっくりと抜き差しされました。
 師匠が何を引き出そうとしてるのか何度も経験して理解しても、他の女人の時のように、絵師の目で見る事など到底出来ない心持で、わたくしは腰を半分上げて膝立ちになり、食入る様に奥様の苦悩する様を見つめてしまいました。男としての本能が沸き立ち、ぎりぎりと歯軋りせずにはいられないほどに興奮してしまっておりました。
 とろりと濡れて光る師匠の指が行きつ戻りつする間、奥様はしっかりと目を瞑り、口を引き結んでおりました。
 その時でございます。今までしっかりと閉じられていた瞳が、急にぱっと開けられて、無いものとして黙殺していた、わたくしの瞳へ真っ向から注がれたのでございます。男として、憧れぬいたお方に、決して見せたくはなかったはずのその浅ましい欲情に血走った瞳を、奥様はじっと見つめ返されたのでございました。

 羞恥と被虐に濡れた女性の諦念の瞳で。

 わたくしが一生忘れられぬ初めての恋に絡め取られたのは、その瞬間でございました。


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    2007

04.17

学習しない私へ



ゆっくりと沈み始める感覚を捉える
身体が取り止めもなく分解し
感覚が急激に拡散する
この状態には覚えがある
まずい・・と、焦って
何かに掴まろうとして空振りした

沈み込んでいく身体
振り返ろうとする心
捕まえようとした人影
残された言葉・・・

「誰にも話してはいけないって」

解っていた筈なのに
つい失敗した
同じ所で 躓いた

「だって、淋しかったんだもの」

しかたないでしょ、もう一度
ほら・・・

そして、階段を転げ落ちた
「コレデ何トカ正気ニ戻レ」

もの憂い・・・春に


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    2007

04.15

蒲公英



あの暖かい春の日に
多摩の河原に寝ころんで
あなたが 吹いて聞かせてくれた
たんぽぽの笛
そのもの憂い甘えた音よ
・・・・ああ、春は 今日一日だけで
十分すぎるほど 美しい
口に銜えた たんぽぽの軸の
ほのかな苦みをあなたは
想いととともに噛みしめる








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    2007

04.02


 
桜の木の下で待っていると約束をした

金の瞳の獣と

私は、むっつ
白い花が一面に散った
赤い着物を着てた
鶸萌黄の帯を締めてた

桜の木は家の前に咲いている
門を出て
桜の花びらが散り敷かれた
五段の階段を降りて
たったの三歩

一尺ほどの高さの崖をぽんと飛ぶと
外灯の光の届かない
木の下闇に獣は蹲って待っていた

獣が約束どおりに
その牙を私の皮膚に立てる時
冷たい湿った布団に包丁をつき立てるように
ちょっとへこんで
逆らって
それから ようやく諦めて
ずぶずぶとそれを受け入れるのが 見えた

ぼんやりと薄墨を刷いたような
ぴんく色の光の中で

私は

獣が音を立てて
私の身体を貪り喰うのを
じっと見て いた

ぼりぼり ぴちゃぴちゃ・・・

獣の骨を咬む音と
血を啜る音を

聴 きながら

待つ 

囚われたの螺旋の中で

夜の清い空気のひんやりとした風が吹き上げる
桜の花びらを数えながら・・・

それから獣は満足げに舌なめずりをして
固くて丸い頭を 私の脛に擦りつけ

くちくなった胸を満足げに膨らましながら

また・・・
と、囁いた

また、来年、桜の木の下で










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    2007

03.05

空中遊泳


なにをしてもよい
などとお約束したつもりはございません

私はただ あなたが
好きなだけなのでございます
あなたの側にいて
あなたの声を聞き
あなたの気配を感じる

あなたの掌の温もりや
与えられる不自由さ
痛み 涙 叫び声
そんな物が好きなだけなのでございます

それが、罪だとおっしゃるのなら
私は罪人なのでしょう

ずっと ずっと
あなたの胸の牢獄の中に
つないでくださいませ


 

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    2007

02.26

もう一度あの写真を

さやか「ねぇ、acky。この間、今書いてるお話が終わりになったら、ショートストーリィーを書くのに使うって言ってた、書生さんの写真ちょうだい。」

acky「え(・▽・;)さやか、もう渡したんじゃなかったっけ?」

さやか「ううん、もらってないもん。」(嘘です。すぐに送ってもらいました。)

acky「σ(^_^;)だって、もう、渡したと思ってたから、ファイル消しちゃいましたよ。」(なんてことはないと思います。)

さやか「Σ(^∇^;)えええええ~。うそぉ!もう、予定に組んであるのに、困るぅ。」

acky「(゚▽゚;)ほ、他の写真じゃダメですか?」

さやか「(-"-)だって、あれがいいの。着物着てたから、書生さんって話になったんじゃん。」

acky「(^_^;)いや、そう言われても・・・困っちゃったなぁ。」

さやか「もう、一回撮り直してよ♪」

acky「だって、あれって結構大変だったんだよ。それに、カメラマンが見つかるかなぁ・・・。」

さやか「さやかが、撮ってあげるから。」

acky「う(゚-゚;)、それって、さやかの前で脱ぐって事?・・・ササッ((((・_・)」

さやか「(;¬_¬) ・・・なに、その態度。」

acky「(^^;;;;;;いや、それは、ちょっと・・・」

さやか「さやかに、逆らうって事?」

acky「ヽ(゜ロ゜;)ノ ウ・・・そ、それはですねぇ・・・。」

さやか「いいよ。べつに。気にしないから・・ "o(^▽^メ)。o0○」((怒))」

acky「・・・・・・・。llllll(- _ -;)llllll撮ってください・・・」

さやか「そう?ackyが、どうしてもって言うんなら撮ってあげてもいいけど。o( ̄▽ ̄メ)。o○(怒)」

acky「お、お願いします(||||▽ ̄)」



ト二人は、衣装を変えて、車で森に移動

さやか「じゃあacky後手に縛るからあっち向いて・・・。」

acky「アタヘ(゜ロ゜;;ヘノ;;゜ロ゜)ノフタ さ、さやかが縛るの?」

さやか「ほ( ̄○ ̄)か( ̄。 ̄)に( ̄0 ̄)だ( ̄△ ̄)れが!」

acky「( ▽ |||||;)ハイ・・・お願いします。」

さやか「グルグルグルグル・・・(‐^▽^‐) きゅう!」

acky「 きゅぅぅぅぅ! <(×o×)/き、きついよ、さやか!」

さやか「はい、そこの木の所に寝っころがって!」

acky「(^◇^;)ほ、本気なんですね。」

さやか「足を吊りまーす。」

acky「(@△@;)ひいいいいいいっ!」

さやか「えーと、しっかり縛らないと落ちてきちゃうからね。(-"-;;)真剣!」

acky「o(@_@;)oドキドキ・・・・さやか、早く撮って。」

さやか「(*☆。☆*)もしかして・・・acky、逆らえない状態になってるんじゃない?」

acky「(O◇Olll)うっ!」

さやか「(〃∇〃) きゃっ☆

acky「(_△_;)あ、さ、さやか、ちょっと待って・・・。」

さやか「(*ノ・)ノキャ!」(ちょっとめくってみよう。)ぺらん・・・

acky「(*..) ポッ」

さやか「ツンツン(。・・)σ 」

acky「(゚▽゚;)はぅ!」

さやか「。(ёё。)(。ёё)。うふうふ♪くすぐるう・・・」

acky「O-(*.△.*)-O ア・・ア、チョットマッテ、ウプププ・・・」

さやか「クスクス(・∀・*)モヒョヒョヒョヒョ」

acky「(~∇、~;) エ・エ・チョットヤメテクダサイッテバ・・・」

さやか「~o(*^◇^*)o~  キャキャキャ思いの外楽しい♪」

acky「(○o●;)さやかあ!ちがうってば。写真!写真!」

さやか「(’▽‘;;アラ? あ、そうだった。(^.^; オホホホ」

acky「(_△_;し、死ぬかと思った。。。」

さやか「(  ̄∇[◎]oパチリ」

acky「ヘ(-.-ヘ;)... コソコソ...やれやれ・・・」

さやか「.:~ロヘ( ̄▽ ̄)ノ~~~~~~ ピシ !さ、acky。後は、心おきなく。」

acky「(||| ̄△ ̄;)」

acky「ε=ε=ε=┏( ;_;)┛いや、もうおしまいですってば。」

さやか「逃がさないもん(;-_-)o~~~~~(;/_゜)/)))) ズルズル」

ト||Φ|(|T|-|T|)|Φ||ガシャン!

 なんてことは絶対にありませんので・・・acky♪また、画像をくださいね♪
では、そのお話は、ココで、お楽しみください。








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    2007

02.20

終わりの時に

お願い・・・
そろそろ終わりにしてくれない?

もう
持ちこたえられそうにないから

約束 したでしょう?
最期には あなたの手で
切り裂いてくれるって

生暖かい血を浴びながら
腸を引きずり出してくれるって

それから 意識が無くなるまで
抱いていてくれるって
心臓が止まるまで
そばにいてくれるって


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    2007

02.14

イチゴミルク


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 ねぇ、右手と右足、左手と左足を別々にくくられた事ある?そうやってうつぶせにされちゃうとほとんど抵抗できなくって、どうぞ、好きにしてくださいっていってるも同然だよね。
 その夜、彼は、私がこっそり冷蔵庫の中に冷やしておいた新しいローションをちゃっかりみつけてしまってたの。前にもメープル&ナッツ味の同じ『食べられる』ローションを使ってお互いに舐めっこした事あるから容器を見ただけでピンときちゃったらしいんだよね。で、私を身動きが取れないようにしておいてから、おもむろにそのローションを取り出してきたって訳。本当を言うと、彼にそのローションをかけて好きに食べようと思ってたのに、反対に食べられちゃうしかないって展開にされちゃって・・・ちょっと悔しいったらありゃしない。
 彼は、私が突き出してるお尻のてっぺんの割れ目の所から背中に向けてトローリとそのローションを流して来たの。冷たくってヒヤッとして、しかも甘い香りがして・・・なんだか、アイスクリームになっちゃった気分。
「いただきます(笑)」
 え?え?え?そんなのあり?じたばたしたって何の役にも立たないの。背中の終わりのお尻の始まり。その辺りからゆっくりと背中のくぼみへ向かってぺろり。ぺろり。ぺろーり。
「うん、おいしい・・・。」
 背筋がぞくぞくぞく・・・ってして。顔が、かあっとほてって。身体はその熱で溶けてしまいそう。やってみようと思っていた事が、こんなに恥ずかしい気分になるなんて思ってなかったから。でも、自分で買ったローションなんだもん。文句なんか言えないし。文句なんか思いつかないほど気持ちがいいし・・・。あ、あ、あぁ・・・ん・・・。って、喘いでいる間に食べられちゃった。
 うーん。次は絶対に彼を食べちゃうんだから。次は、また、メープル&ナッツで再挑戦してやる!
  


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    2007

02.12

洗濯ばさみ

「あ、あん。やだぁ。」

 中学からの仲良しのみゆきと私はベッドの中で遊ぶ仲。別に恋してるんじゃない。御互いの欠点も長所も知り尽くして、淋しい時には慰めあって・・・いつの間にかそんな事する間柄になったってだけ。御互いにちゃんと彼もいるし、別に欲求不満って訳でも無いんだけど、女の子の温もりが嬉しい時ってあるでしょう?それが、いつの間にか好奇心から、ちょっと縛ってみよう、ちょっと打ってみようって、エスカレートして、いつのまにかすっかりSMテイストの混じるラブプレイに・・・。
 そうするとなぜか、大人しくって優しいみゆきがS役で、甘えん坊でわがままだった私はM役に。むしろ、うん、なんていうか、やってもらうのが好きってのが災いしたんじゃないかなぁ。

 今頃、後悔してもしょうがない。だって、もうベッドの上で両手両脚を大の字に大きく開いて括り付けられちゃってるんだもの。すごく恥ずかしい事してるんだけど、相手がみゆきだから安心しちゃう。彼の前じゃ絶対に出来ない事も、絶対に言えない事も、みゆきなら平気だって思っちゃう。
 ああ、だけど、みゆき。今夜はちょっとやりすぎだってば。みゆきは、私が動けなくって、逆らえないのをいい事に。洗濯ばさみを持ち出してきたんだもの。
「ね、優実。これで、ちょっと挟んでみようね。」
「いや、いや、いやだってば。そんな痛いのやだ。」
 私は一生懸命抵抗した。じたばた、じたばた、もがいて。首を振って、身体を捻って。でも、どうしょうもないの。だって、大の字にになってて、いくら引っ張っても抜けないんだもん。怖くって怖くって、必死になってお願いしてるのに、みゆきったら嬉しそうに洗濯ばさみの先で、私の胸の上をなぞってくるの。あん。やだ。やめて。そんなふうに触られたら感じちゃう。

 くすくすくすくす・・・みゆきの笑い声。そっと、左手を伸ばして足の間を擦り上げられて、ぞくぞくぞくぞく。鳥肌が立っちゃった。やめてよ。みゆき。
「どうして?優実ったら、濡れちゃってるよ。ほんとはこんなの好きなんじゃないの?」
 わかんない。そんなのわかんない。だって、私はMじゃないもん。今は、ちょっとそういう「役割」ってだけでしょ?虐められるのが好きなわけじゃない。だから、やめて。ほんとにやだってば。
 それなのにみゆきったら、目の前で洗濯ばさみの先を開いたり閉じたりして見せるの。あ、あ、あ。怖い。ヤダ。そんなので挟んじゃ、や。一生懸命仰け反って、必死になって抵抗して。でも、逃げられない事に気がついた。どうやったって、彼女の思うがまま。どうしたって、彼女のされるがまま。泣いたって。叫んだって。だめ。あの洗濯ばさみで挟まれちゃう。

 そう、思った瞬間に、ずきん、ずきん、ずきん・・・って。身体が熱くなった。溶けていきそうな位感じちゃった。なあに?これ。いったい何が起こってるの?みゆきが覗き込んでくる。開いた洗濯ばさみが乳房の上をすべる。だめえぇえぇ!

パチン。

「きゃああああああ!」
 火花が出るほど痛くって、ちぎれちゃうかと思うほど痛くって。思いっきり反り返った。
「痛い。痛い。痛いよぅ。」
 泣きながら、首を振り続ける。
「いや。いや。いや。とって。みゆき。とって。」
 でも、みゆきは取ってくれない。泣いている私を抱きしめて、優しく頭を撫でて、うなじにキスして。耳をしゃぶってくる。いや、そんなにしたら、感じちゃう。変になっちゃう。いや、いや、やめて。

 「もしかしたら。」って思ったこと無い?もしかしたら。もしかしたら。もしかしたら。私が最初にもしかしたらって、思った晩。みゆきは私の二つの乳首に洗濯ばさみをつけたまま身体中を舐めしゃぶって「いく」まで許してくれなかった。それが、私が最初に「もしかして。」って思った夜。忘れられない思い出の夜。



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    2007

01.07

告白


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引き止めたい瞬間がある
妬いている訳じゃない
独占したい訳でもない
縛り付けて閉じ込めておきたい訳じゃない

それでも
呼び止めたいと思う瞬間
凍りつき
足元が暗くなる
頼りない だがら、手探りをする

言いたかった言葉が 喉に溢れて
胸をふさぐ
息が途切れる
叫ぶ事もできない

そうして、大事な人を見送ってしまう
闇の中に踏み迷ってしまう
その腕をつかもうとして
伸ばした腕に引かれ
そのまま穴の中に飲み込まれていく
後悔に切り裂かれ
このまま消えてしまいたくなる

どうして あの時
いつものように
わがままを言えなかったんだろう

いいや 予感はあくまで予感
右へ行くも 左へ行くも
選ぶのはあの人なのだから

いくら、言い聞かせても
納得しない 空回りする自分

言葉は どこまでも私を追ってくる
こだまのように 取り落とした過去が戻ってくる

つかまえそこなった

つかまえそこなった

つかまえそこなった

私は あの人を捕まえそこなった



ねぇ そこにいるでしょ

返事をしてよ





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    2006

12.10

キス


 



 
ベッドに手足をくくりつけらて


キスされた

何度も

何度も

身体が熱くなってくる
触れている場所から
お互いが溶け合い
ひとつになっていく
宇宙をめぐる


なんにもできない・・・
ただ、そのキスを味わうだけ

濡れている 湿った音がする

深く 深く 探り合う

あんまり力を入れたから
手首に縄が喰い込んだ

じれったいほど

あつい

じりじりするほど

あつい


多分・・・・

最後まで手を伸ばしてこなかった

彼の方が

辛かったに違いない





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    2006

12.05

彼岸





行ってはいけないと
きつく、きつく、きつく、言われてたのに
どうしても行きたかった
あの頃

あの川の向こうに愛しい人が住んでいる

逢いたい

逢いたい

あなたの事を思わない時間はなかった
眼を閉じて
頬を膨らませて
思いっきり息を吸い込んで

叫びたい
あなたへの想いを

泣きたい
心のままに泣きじゃくりたい

どこまでも川の深みに流されていきたい




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    2006

12.04

女友達



くすくす・・・
ねぇ、覚えてる?
一緒に潜った毛布の下で
おでこをくっつけあって読んだ本




それから
学校の階段を一段とばしに駆け降りながら
転げまわって笑った事
道端で摘んだ野イチゴ
大きな声で歌いながら歩いた
あの西日がさす坂道




マウスピースだけで鳴らした
あのメロディを聞きながら
一緒に泣いた事



それから カッターナイフで刻んだ
あの、約束の傷






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    2006

12.01

マリオネット


ふうらふらふら・・・
ゆうらゆらゆら・・・
連れて行って 

思い通りにして

今は何も考えたくない・・・・



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    2006

11.27

価値観

 
「普通」の中で生きていると信じているあなた
私と心を交換してくれませんか
キュ・キュ・キュ・・・・と
ソケットを廻すように、外して渡してくれませんか

知らなかった頃に戻れるように
私の痛みを消してくれませんか

私は「普通」という物を知らないんです

だから

少し 

分けて・くれませんか


・・・・・・・。

でも・もう・無理かもしれません

感じるだけでなく
存在を 確かめてしまったから
無くしてしまうと 泣いてしまうかもしれない




リンク切れ





M男性のためのリンク
↓続けられるように
ポチっとしてください。

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    2006

11.12

夢の中の獣




布団の脇に置いた たらいの水で
片手で不器用に首を洗っていると

枕元に、探していた私の手首を咥えた獣がやってきた
手首をそっと肩の所に置いて
おもむろに寝そべると
ごろごろと喉を鳴らし・・・
重ねた両手に頭を乗せて
時々顔を上げて脚を舐めている
手首を見つめる目は
黄金にきらめきながら
手首と私の喉笛を見比べる
どっちがおいしいと思う?
私の獣
(お前が私の手首を噛み砕くのは見たくないなぁ・・・)

つと乗り出して手首を掴み
ソケットのようにキュキュキュって
元通りに 付けた
それから、手を伸ばして喉をかいてやると
獣は眼を閉じてなすがまま

獣よ、獣
私が苦しまないように
一瞬で
一回で
私をおくっておくれ

獣はのっそりと立ち上がり
まるで猫のようにその重い頭を
私の額に擦り付けた







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    2006

10.14

重荷


Kyrie eleison.


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あなたの悩みを知っているわ
背負っているのは私と同じ十字架
傷つけずにはいられない
苦しまずにはいられない

誰にも打ち明けられず
誰にも理解されない

愛し合い
喜びを分かち合う
人の望みから
ただ一人締め出される

祈らなくてもいい
許さなくてもいいわ
闇の中に
血溜まりの中に
生暖かい
ひと時の憩い を分かち合いましょう








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    2006

10.10

仲良し♪


ディン・ドン 鳴る鐘
塔の上で会おう
内緒話をするために
スカート脱いでおくれ

お前は、見たかい?
吊された男を
悲鳴を聞いたかい?
縛られた女の

驚いた娘っこ
ダ・ダ・ダ・ダ・・・・
滑って 転んで 首の骨折った



★男の子の仲良し♪★



★女の子の仲良し♪★



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    2006

10.09

愛情


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 重ねる気持ちの暖かさよりも
やさしくついばむキスよりも
頬を撫でる気持ちよさよりも
欲しいものがあるの

熱くて苦しくて切なくて
身動きもならない身体と
囚われてしまう心のうえに
そっと乗せられるあなたの冷たい手

まるで
さあ、どうしよう
どうしてやろうか・・・と

言っている様に・・・

私は苦しい息の元から
必死に叫ぶ
好きなようにして
引き裂いてちょうだい!
あなたはクスクス笑う

そして、オモチャは大切に使うタチなんでね
と、私の身体をやんわりと締め付ける




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