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    2012

09.12

O嬢の物語






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角川文庫 澁澤龍彦訳

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河出書房新社 渋沢竜彦訳

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富士見ロマン文庫 澁澤龍彦訳

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澁澤龍彦訳 金子國義画 刊行1966年

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講談社文庫 鈴木豊訳 カバー装画 : 山下清澄

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中村正夫訳

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二見書房 サラブレッド・ブックス 202 長島 良三訳

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グーテンベルク21 翻訳: 鈴木豊

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マガジンハウス : エルの本 辻真稀子訳 イラスト : 宇野亜喜良

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日本出版社 海外傑作ロマンアップルノベルズ  千草忠夫訳

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学習研究社 高遠弘美訳

 高遠弘美訳で「Oの物語」を読んでいます。あまりにも有名なポーリーヌ・レアージュの書いたこの本は、日本でも、繰り返し繰り返し発行されてきました。
 要するに一人の女性が、恋人の所有物となり、その恋人の命令で、恋人の兄貴分の男に譲り渡されてしまい、最後は、その男が死んじゃって、自由になっちゃってどないしたらいいの?ってお話なんだけど・・・。(^▽^;)

 最初に読んだ時は、小学生だったのだけど、澁澤龍彦訳で角川文庫でした。一読して「すっごく期待してたのにちっともエロくない本」という烙印を私から押されてしまいまってましたね。それでも、まだSM小説とか、簡単に手に入らない子供だったので、何度も読み返して、好きな部分に印をつけたりしてました。(笑)「スリーピング・ビューティー 官能の旅立ち」も、そうなのだけど、萌を期待して読む本じゃありません。それが、いつの間にか、座右の本になっちゃってる所は不思議ですけど、どちらもおとなになって読み返して初めて意味の分かる本だったのだと思います。

 あの頃は、映像が話題になったりしてたのですが、今は、もう、忘れ去られてしまいました。O嬢の物語なんて、読んだことないって人が多いんじゃないかなぁ・・・。澁澤龍彦の時代は、いろいろと制約があって、完全な訳じゃないそうです。それで、再度、新しい訳で読んで見ることにしました。ハードカバーなので、お風呂で読むには、手が疲れます。


 私はあなたとスティーブン卿に以下の権利があることを認めます。」どこにいても、またいかなるふうにであっても、ほしいままにOの体を自由にする権利。Oを鎖で縛る権利。たとえ取るに足らぬミスを犯した場合でも、あるいはただ単に彼らの快楽のためであっても、○隷か囚人のようにOを鞭打つ権利。彼らの行為でOが泣き叫び、哀願を繰り返すことになったとしても、そんな叫びや哀願は一切無視する権利。「この場でぼくから、そして君自身からも、君という存在を譲り受けたいというのがスティーヴン卿の願いだったと思う。それに、卿は自分の欲求の詳細についてぼくから説明することを望んでいるらしい。」Oは恋人の言葉に耳を傾けた。ロワシーでルネが言った言葉が記憶に蘇った。それはほとんど同じ言葉だった。ただあのときはルネにぴったり身を寄せて聴いてたし、夢にも似たおよそ現実とは思われない出来事のさなかで、あたかも別の人生を生きているか、あるいはそもそも自分は存在していないのかというような感情によって守られていた。夢ないしは悪夢、牢獄のような環境、ロープ・ド・ガラ、覆面の人物たち・・・こういうったすべてがOをそのふだんの生活から引き離し、いつまで続くかわからない不確実な時間のなかに置いたのである。ロワシーではまるで、夢だとわかっていながら、何度でも繰り返される夜の夢のただ中にいるような気がした。確かに実在しながら、やがては終わるはずの夢。耐えられなくなるのが恐いから終わって欲しいと願う夢。結末が知りたいからその限りに置いて続いてほしい夢。い夢。今、その結末が姿を表したのだ。Oがもう結末のことなど忘れていた時に、Oが想像だにしなかったかたちで(Oの現在の考え方にしたがって、それがいわゆる結末だとすれば、そのうしろに別の結末が、そのまた背後にさらに別の結末が隠れていることなどありえないと仮定しての話だが)。この結末は、Oが記憶を超えて現在の時間のなかへ飛び込んだがゆえに現れたのだが、同時に、今までは閉じられた範囲、閉ざされた宇宙のなかでしか現実性をもたなかった事柄が。突然、Oの日常生活のあらゆる偶発事や習慣にまで影響を及ぼし、Oに対して、また、Oのなかで、単なる印ー裸の臀部、ホックをはずしたブラウス、鉄の指輪などーだけでとどまらず、最後まで成し遂げることを要求しているのだ。ルネはたしかにOを鞭打ったことはなかった。ロワシーに連れて行かれるまえのルネの、戻ってきたからのルネの間に違いがあるとすれば、以前は(そして今も)Oの下腹部を用いていたのが、今ではそれと同じ程に口や臀を使うということだった。ロワシーで規則的に受けた鞭が、たとえ一度でもルネの手によるものだったのかどうかはOには全く分からなかった(ルネかどうか訊きたくても、O自身か男たちのどちらかが覆面をつけていた)。ルネが自分を鞭打ったとは思えなかった。おそらくルネにとっては、Oが縛られ、男たちに委ねられて、むなしくもがいているさまや、泣き叫んでいるところを見る快楽があまりに強かったので、わざわざ自分から手を出して、その快楽を薄めたくはなかったのだと思う。ルネは水洗それを認めているかに見えた。奥行きのある肘影椅子に半ば身を横たえ、膝を組み、身体を動かすことなく、スティーヴン卿の命令と意志にOが進んで身を委ねることを自分はどれほど嬉しく思っているかを、すこぶる優しく穏やかな調子で語るルネを見ればその事は明らかだった。スティーヴン卿がOと夜を、7あるいは一時間でも過ごしたいとか、食事や観劇のために、パリの外でも中でもOを連れてゆきたいといった場合は、Oに電話をして、もしルネ自信が迎えに行く時間がないときは車をよこすだろう。さあ、こんどは君が話す番だ。承知してくれるかな?しかしOは口をきくことができなかった。突然のように自分の意志を表明しなさいと言われたものの、その意志とは自分を捨て去り、確実に承諾できることだけでなく、少なくとも鞭で打たれることをはじめとして肉体が拒むことにもすべてあらかじめ同意するということにほかならない。それ以外の事柄について、もし自分に正直に言わなくてはならないとしたら、Oはスティーヴン卿の目から読み取れる欲望に、自分をごまかすことができないほど心乱される自分を感じていた。Oはふるえていたが、まさにふるえているからこそ、卿が手や唇でこの肌に触れてくる瞬間を、卿以上に待ち焦がれているのだと思った。その瞬間の到来を早めるかどうかはOしだいであったろう。それを迎える悠紀ないしは激しい欲望蛾どれほど強いものだったにしても、いよいよ返事をする段になっていきなり体から力がぬけて、おは床にすべるように崩れ落ち、スカートがまわりに広がった。それを見ていたスティーヴン今日あ静寂の中、くぐもった声で、怯えている姿もOによく似合うと指摘したが、それはOにではなく、ルネに大してだった。Oのほうへ来るのを卿は控えているのではないか。そう感じたO破卿の態度を残念に思った。Oはそれでも卿を見ることなく、ルネをじっと見つめるうちに、もしかしたら裏切りととれる何かをルネは自分の視線に読み取るのではないかと恐ろしくなった。だが、それは裏切りとはいえないだろう。スティーヴン卿に所有されたいという欲求とルネのものだという時いつのどちらかを重視するかといえば、Oにまったくためらいはなかった。実際その欲求うが募るままにまかせたのはルネがそれを認めたというだけでなく、むしろ、ある点まではそれが命令であるかのごとくふるまったからである。それでも、Oがあまりに早く、また、見事に服従するのを目の当たりにしたルネが怒らないだろうかという疑いは消えなかった。どんな些細な合図でもいいから送ってくれればそんな疑念は氷解するのに、ルネは何の合図もせずに、ただOの返事を求めるだけだった。8すでに三回目だった)。つかえながらOは行った。「あなた方の望むことならどんなことでも受け入れます。」それから膝の窪みにそれぞれ当てられた手のほうへ視線を落とし、小声で白状した。「ただ、鞭で打たれるのか知りたいんです。」なんてことを訊いてしまったのだろうと二十回も反省するくらいの長い間返事はなかった。やがてスティーヴン卿がおもむろに言う声が聞こえた。「ときどきはね。」それからマッチをする音とグラスを動かす音がした。二人のうちひとりがウィスキーをまた口に運んだのだろう。ルネはOを助けることなく、口をつぐんでいた。「今は承諾したとしても、いまは約束したとしても、わたし、鞭には耐えられません。」「あなたにお願いしたいのは、黙って鞭を受けることだけです。叫ぼうが嘆こうが、そんなことは無駄なことだということをあらかじめ承知していてくれればいいんです。とスティーヴン卿が言った。「ああ、お願いです。今日はまだしないで。」
学習研究社 高遠弘美訳 Oの物語より



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Category: 読書が好き
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