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    2015

05.12

お仕置き(凛編)・5

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第五章 家庭教師

  ピンク色の霞がかかったような、桜の木のトンネルを抜けて歩きながら、凛は、ぼんやりと考え事をしていた。優しい風が凛の髪の毛を揺らし、吹雪のように舞い散る桜の花びらを捲き上げる。私は、どうして、家に帰るのを躊躇っているのだろう。今日は、家庭教師の斉藤が来る日だというのに。
 景色の美しさに逃避して、あまりのんびりとしてはいられない。教師よりも遅れて家に着くなんて、とんでもないことだった。そんなことになったら、多分、斉藤は、凛のお尻を叩くだろう。それも容赦なく。
  斉藤誠は、京都大学の数学科に在籍している三年生だった。背は175センチ位。テニスサークルに入っているというだけあって、スポーツをしている人間らし く、しっかりと筋肉の付いた、それでいてスーツが似合う、ほっそりとした体型をしている。瀬理崎の家に来る時は、必ず、仕立てのいいスーツを着ていた。
 学生なのにどうして?と、凛が尋ねると、「カジュアルな服装だと、友達感覚になる生徒が多いからね。」と、苦笑しながら、彼は言った。「彼が教えているのは自分だけではないのだ。」と思うと、凛の胸がちくんと、痛んだ。
 顔立ちは整っていて、人あたりも優しい。低めの甘いテノールで、丁寧な口調で話しかけてくる斉藤は、ある意味堅苦しく、凛にとっては、近寄りがたいタイプだった。
 けれど、仕事が忙しい父と、どこか気まずい母親との生活で、息が詰まっていた凛にとっては、自分の事を気にかけてくれる、自分だけの男性が現れた事は、正直嬉しかった。
  斉藤が初めて家に来て、凛の部屋で二人切りになった時。斉藤は座るとすぐに、なにかをかばんの中から取り出して、凛に手渡した。なんだろう。それは、小ぶりの靴の底のような形をしていて、表面には赤い薔薇の華やかな型押しがしてあった。花びらの一枚一枚に丁寧に色が塗ってあって、部屋の壁飾りのよ う・・・。
「さっき、凛のお母さんが玄関で出迎えてくれた時に、渡されたんだ。」
 凛が、不思議そうに見上げると、そこには、長いまつげが頬に影を落としている斉藤のちょっと面白そうにしている顔があった。
「凛は、これが何だか知らないんだね。」
「え?」
 知ってないといけないことなんだろうか。ちょっととまどって、再びその薔薇の花を見つめる。思わず知らず顔が赤くなっているのが分かった。
「これはね、パドルって言って、凛が悪い事した時に、お尻を叩くための道具だよ。」
 やっぱり。と、思った時には、凛の心は大混乱だった。今日、初めて会ったばかりの男。まだ、ほとんど言葉も交わしていないのに、この家庭教師が、凛のお尻を叩く権利を持っているという事を最初に告げられたのだ。それは、凛を急激に、いたたまれなくしていた。それだけではない、若い男にスカートをめくられることを想像した凛は、かーっと 身体が熱くなった。恥ずかしさと、切なさと、一抹の喜びの感情を、凛はどうしたらいいのから分からなかった。そして、その気持とは、裏腹に、自分勝手に、 そんなふうに決めてしまった美智子に対する、反感と恨めしさも、同時に湧き上がり、胸をどす黒く染めていく。
 くすっ。と、斉藤が笑ったのが分かった。何を考えているのか、全部見ぬかれているような気がして、一層縮こまる凛を微笑んで見つめているのも
「おいで。」
 斉藤は、手を差し伸べてくる。凛は、え?と、彼を見た。それが何を意味しているのか、何度も何度もお仕置きを受けている凛に、分からないはずがなかった。
「でも、でも、私、なんにも悪い事してないのに・・・。」
 だんだんと尻窄みに小さくなっていく凛の声をまったく相手にしないで、斉藤は、もう一度手を差し出した。今度は声が少し低い。
「おいで。」
 いやいやと首を振りながら、その声に引かれるように、そろりと凛は腰を浮かした。身体は何かの力に引かれるようと相手の身体に近づいて行く。
  父の膝とは違う。筋肉はあるのに直に骨にゴツゴツと当たる感じ。多分、真新しいだろうスーツのまだこなれてない生地がチクチクとして、男の人の膝なん だ・・・と、強く意識してしまう。そして背中に置かれている手のぬくもりが、の木綿のブラウス越しに、春先の花冷えに冷たくなっていた身体をあたためてく れる。父以外の人と、こうして身体を密着させるのは、凛にとって初めての経験だった。それが、よりによって、お仕置きの体勢だなんて。
 体勢?違う、この人は、私のお尻を叩くつもりなんだ。どうして?だって、私、なにか悪い事した?理由もないのに叩かれるのなんて嫌だ。

 え?

 それってどういう事?「理由があれば、家庭教師である男に、お尻を叩かれてもいい。」私は、そう考えているの?
 凛のとりとめのない思考が、彼女の頭の中をグルグルと回る。思わず、ふうっ・・・と、ついた吐息は熱く、凛の感じていることを如実に表していた。心よりも先に反応している身体に、凛は、うろたえた。
「不満そうだね。」
  頭の上から降ってくる。そして、同時に、密接した身体を通して、伝わってくる男の声の振動に、凛の物思いは破られた。他人がすぐそばにいて、その人とやりとりをしていたのだということをすっかり失念していた自分に驚いて、思わず腕を突っ張って起き上がろうとした。しかし、背中を抑えている斉藤の手は、凛に それをさせなかった。
「不満だなんて、そんな・・・。」
 凛は、反射的にそう答えた。相手に逆らうということを、凛は、あまり学習していなかった。それほど、凛の周囲の人間は、彼女をお蚕ぐるみで、暖かく育んできたのだともいえる。だから、深く考えもせずに、口に出してから、しまったと思う。
 不満がないというのはどういうことだろう。「斉藤に罰としてお尻を叩かれることを受け入れた。」それを、表明したととられてもしかたない。凛は斉藤の生徒。お尻を叩かれてしつけられる生徒だってことだ。そして、今のように、凛が理解できない理由で、無理やり彼女を膝の上に載せることも。
  どうして?どうしよう。なんて言えばここから抜け出せる。お仕置きされるのは嫌だっていう?言ったとして、それが受け入れてもらえる?美智子さんは、絶対に怒る。父にこの間の事を言うわ。ああ、それとも、もう、言ってしまったのだろうか。これは、その結果なの?このことは、父も知っているの?最近お仕置き してくれないのは、そのせいなの?私は、もう、美智子さんに引き渡されてしまった。そして、斉藤に引き渡されてしまったの?
 斉藤のお腹がくっくっと震えた。
 笑っている。私がこんなに、悩んでるいのに、この人は笑っている。私がこんなに辛い思いをしてるのに。こんなのいや。いや。私のことをもっと思いやって欲しい。優しくして欲しい。私の・・・。私の家庭教師なのだから。自分の辿り着いた本心に愕然とした瞬間。パーンと、スカートの上から、皮のパドルを叩きつけられた。ただ、一発だったのだけれど、充分痛くて、ただ、一発だったからこそ、痛みと感じなかった。凛の膨れ上がってきたもやもやとした気持ちは一瞬で吹き払われた。
 斉藤は、凛の両腕を掴むと、彼女の身体を抱き起こし、微笑んで彼女の目を覗きこんだ。
「お母さんから、お願いされたからね。もし、凛が、言う事を聞かなかったり、約束を破ったり、悪い事をしたら、僕にお尻を叩かれるんだよ。分かったかい?」
 そして、僕が叩きたい時にもね。
 斉藤は、そんな言葉は告げなかったのだけれど、凛の胸の中に、その言葉はしっかりと刻み込まれていた。
 あの時の凛は、まだ何も知らなかった。いや、あんなにパソコンでいろんなサイトを見ていたのだもの。知らなかったはずはない。パドルで叩かれる少女や女を みつめ、そうして叩かれる自分の姿を想像したりしていたのだ。それなのに、分からなかった。いざ、自分の身に起きてみると、どんな気持ちがするのか。
 凛の差し出したその手の先に、花びらがふわりと乗る。桜の花が咲いている時期は短い。あっという間に花は終わってしまう。若芽が膨らみ、葉を茂らせる。来週ここを通っても、もう、この桜を見ることはない。凛は、自分に聞かせるだけのために、ため息を一つ付き、そして、花のトンネルの向こう側に待っている自家用車へ、視線を巡らせた。
  桜の並木道を通ってから帰りたい。そういう、凛の希望を聞いて、柿崎は、車を並木道の終わる交差点へ移動させ、凛がやってくるのを待っているのだった。最後のゆるやかな坂道を登り始めると、柿崎が、運転席から降りてくるのが見えた。ただ、座って待っているだけでなく、速度の一定しない、凛の歩みをちゃんと見ていた証拠だった。
 凛が、車の前に立った時、柿崎はちょうどよく、後部座席のドアを開けて、彼女が乗り込めるようにして出迎えてくれた。
「桜も、もう、終わりかもしれない。」
 おや?と、言うように柿崎の視線があがって、凛を見つめた。凛が、なにかを話しかけるということは、珍しいことだったから。使用人の姿は、雇い主にはそこにないように、認識されないのが普通だった。
「また、来年も、綺麗に咲きますよ。」
 柿崎の言葉を肯定したのか、それともなんとも思わなかったのか。凛は、ひとつ頷くと、もう、後ろを振り返ったりせず車に乗り込んだ。凛を乗せた車のドアが静かに閉じられ、凛は、外の世界から隔てられた。

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    2015

05.09

お仕置き(凛編)・4

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第四章『初めての義母からのお仕置き・上』


 他の誰かと父を共有する。私の人生で、初めての出来事だった。母がいた時は、こんな気持になったことはない。父は父であり、母は母であり、ふたりとも私のものだった。私を愛してくれ、私の事を心底考えてくれている。何の心配もなく、私の世界は完全だった。
 母が亡くなってから、その世界の欠けた部分を埋めてくれたのが父だった。忙しい仕事の合間をぬい、できるだけ一緒にいてくれた。話を聞き、食事を共にし、一緒に出かけることもあった。もちろん、他の家庭に比べれば、父は忙しい人だったと思う。出張も多く、私の面倒をみてくれる仕事も兼ねている家政婦さんと ふたりで、留守番する事も多かった。
 でも、父の生活は、仕事と私という娘の2つの事柄で占められていた。・・・そうではなかったのかもしれないが、私はそう信じていた。家にいない時は、お仕事をしていて、それが終われば、私の所に戻ってくる。
 今は、そうではなかった。父が帰ってくるのは、再婚した美智子さんのところなのだ。
 家の中の趣がどんどん変わってしまったことも、そう感じてしまう原因の一つだった。父は美智子さんに、家の内装を自由に変えることを許した。父と母と私。 思い出がいっぱい詰まっていたその家だったのに。カーテンやじゅうたんだけでなく、古い時代のアンティークな家具も、どんどん変えられてしまい。新しくモダンな装いになっていった。
 自分の家なのに、いつの間にか、自分の家と感じられない。自分の父なのに、美智子さんの新婚の夫と考えなければならない。そう、常に考えていないと、どう振る舞っていいのか分からなくなってしまうのが本音だった。父が家に帰った時に、今までだったら、真っ先に玄関に 走って行って飛びついていたのに、そこに立っている父の新しい奥さんの前では、ただにこやかに、「おかえりなさい」と、言うのが精一杯。父の腕を取り、話しながら階段を登ってい行く二人の後ろから、微笑んで後をついていくのが精一杯だった。
 忙しい仕事をやりくりして、父が家に戻ってきているのは分かっている。家族の一員として、できる事をしなくちゃ。そう、考えれば考えるほどに、素直に振る舞えない自分がいた。やりくりして父が捻出した時間は、一生の仕事を辞めてまで、家で待っている、新妻のために使われるのが、当然のように思える。もう、私も高校生なのだから、訳の分からない子供のようなわがままを言っては、ならないのだ。
 そうして、父を独占できる時間は失われてしまった。再婚したことで、私が寂しく思わないでいられるように、二人して気を使ってくれているのだろうが、それは、いつも二人での行動に、私を迎え入れてくれるという形だった。
  私は、まだ、美智子さんを母として受け入れられないのかもしれない。昨年の暮に籍を入れた事を聞かせられた時に、父からも促されたし、彼女にも「これからは、母と呼んで欲しい」と言われたから、形だけは「お母様」と、呼び習わしているのだけれど、気持ちはついていっていない。父を盗られたと感じる気持ちも 消すことができなかった。
 以前は、ティールームでくつろいだり、父といろんなゲームをして過ごしたりしていた時間を、私は自室に篭りがちになっ た。ちょっとした目配せや、夫婦だけの親しみのこもった接触を見る度に、胸の奥が絞り込まれるような痛みを感じてしまう。それから逃れるためには、二人と一緒に居るのを避けるしか無かったのだ。
 部屋で、することもなく、勉強にも集中できない私。私は、何も考えない時間を作り出すがために パソコンに逃避した。今日のニュースを読み、そこから2チャンのまとめサイトへ行く・・・。誰かが誰かの言う事をおもしろおかしくこき下ろし、それが延々と続く。秀逸なツッコミが並ぶ時もあるが、ほとんどが同じ主旨の羅列。そして案外と保守的な意見だった。
 あちこちとネットサーフィンをしてか ら、行くところがなくなって、しかたなしのように、私はそのサイトに辿り着く。それは、女性の書いたブログで、スパンキングの情報を、海外から幅広く拾っ ている。リンクとレビューが、豊富に書かれていて、それを利用すると、苦労することなくスパンキングの動画を見たり、物語を読むことができる。
 そう、スパンキング。今では、私は、その行為が性癖の一つであることも、それをディシプリンスパンキングと呼ぶことも、セックスの前戯として使う人達とは一線を画しているということも、なんとなく理解するようになっていた。
父と私の間に性的な物があったとは思っていないけど、安心や信頼や愛情はあった。お尻を出される時の甘酸っぱいような恥ずかしさと、こんなにも父親に近い場所に居るという満足感。そして痛いけれど、父親の愛情が心に染みてくるような。お小言さえも、愛情の証のように思っていた。
 ネットの中で見る画像は、圧倒的に教師と生徒が多いような気がする。制服を着ている、少女のように見える女性たち。今は年齢制限がきびしくなっているので、彼女ら は、21歳を超えているはずだった。そして、多分、ネットでこの画像を見つめているのは、私のように、叩かれる側の人間ではなく。お仕置きをする側の男性たちなのだろう。
 スカートをめくられ、下着を降ろされて、むき出しのお尻を叩かれる。校長室で・・・時には、教室のみんなが観ている前で。考えただけで恥ずかしくて気が狂いそうになる。私にはとても耐えられそうにない。きっと、スパンキングが好きなわけじゃない。私が好きなのはお父様。大切な お父様だからこそ、素直にお仕置きを受けることが出来たのだ。
 ぼんやりと考え事をしていたせいか、私はドアが開いて、美智子さんが声をかけてくるまで、ノックの音に気が付かなかった。慌ててパソコンをシャットダウンしようとする私を、部屋に入ってきた美智子さんは、不審げに見つめると、つかつかと部屋に入ってきた。
「凛?あなた、夕食後のお茶もしないで、さっさと部屋に引き上げてしまったけど、なにか用事があったの?お父様がお留守だからって、気ままにしたいようにすると、お父様に心配かける事になってよ。」
  そう言いながら、俯いて彼女の小言をやり過ごそうとしていた私の前のキーボードを素早く操作した。あっと、気がついて静止する間もなく、いくつかのキーの操作で現れたのは、さっきまで見ていたスパンキングのサイト・・・赤くなり、泣き叫ぶまで、お尻を叩かれている少女の姿だった。
 それから、ひとつ、2つの操作をすると、私が今まで閲覧していた沢山のサイトが画面に並んだ。「知られてしまった。」「どうしよう・・・見つかってしまった。」私は、その場で地面に穴を掘って、埋まってしまいたいいたたまれなさにどうしていいのか分からなかった。
「ふうん・・・そうなの・・・・。」
  彼女がちろり・・・と、舌を出して、赤く塗った口紅をぺろりと舐めた。食事の後に塗り直したのだろう。くっきりと描かれた赤い唇は、私と彼女の立場の差を 歴然と表していた。化粧をする大人と、素肌のままの子供。黙って上から見つめられて、私は火のついたように赤くなって、固まっているしかなかった。
「凛さん、私、あなたのことは、お父様からくれぐれもよろしくと頼まれているの。」
「お父様から伺ったわ。あなた、悪いことをした時は、未だにお尻を叩かれているそうね。もう、高校生にもなっているのに、父親にお尻を叩かれるのって恥ずかしくないのかしら。」
  美智子さんは、キラリと目を光らせると、私を斜めに見た。面白そうに、嬉しそうに、まるで、新しいおもちゃを見つけた時の子供のように。私は、悪い予感に 身震いした。彼女が考えていることが手に取るように分かる。椅子に座ったまま、キャスターで後ずさりをしながら、なんとか言い訳をしようとしたが、口を開けても言葉を述べることができなかった。言い訳のしようがない・画面に映しだされた動かぬ証拠。
「それでも、足りなくてサイトでお尻叩きの画像を観ているなんて、あなた、そんなのお尻を叩かれたいの?」
「そんなことありません!」
   隠していたものを全部、白日の元に晒されてしまったことにうろたえながらも、私は父との秘密を必死に守りぬこうと決心していたのに・・・。それなのに、父は、もう、美智子さんにお仕置きの事を打ち明けていた。私に、相談もしないで、私の気持ちも考えないで・・・。私は、悲しくて、その場にわっと泣き伏したかった。でも、それでも、彼女の前で泣くのは嫌だった。私にもプライドがある。そのプライドが、彼女に弱みを見せて泣くくらいなら、じっと我慢して叱られたほうがましだと言っていた。
「じゃあ、お尻を叩くのは何のためなのかしら?」
「わ、悪いことをした時の罰です・・・。」
「そうね。そのとおりよ。こういう画像をパソコンで見たり、それを見ながら自慰をしたりするのは、悪いことよ。あなたは本当に悪い子ね。お父様から厳しくしつけてくれるように言われているの。これからは、あなたの振る舞いは、私の責任でもあるのですもの。良くて?」
  私は、あまりの事に呆然とした。父は、私を、この人にあげてしまったの?自由にしていいって言って?もちろん、後で冷静になった時に落ち着いて考えれば、父がそういうつもりではなかったことは推測できた。でも、結果は、どちらにしても同じ事。私の教育は、美智子さんにまかせられてしまったのである。
 それは、つまり彼女には、私のお尻を叩く権利があるということだった。
 ベッドの端に座った彼女は、自分の手の中に落ち込んできた獲物に狂喜していることを隠そうともしていなかった。
「さあ、いらっしゃい。お膝に乗るの。このサイトが18歳未満は閲覧禁止で、あなたには、それを見る資格が無いことは分かっているでしょう?破廉恥なポルノサイトを見たために、あなたは、そのサイトに出てくる方法でお仕置きされるのよ。でも、自分の手で叩くと私のほうが痛くなってしまうわね。なにかいい道具はないかしら。」 
 きょろきょろと視線を巡らすと、彼女は鏡台の上に置いてあった。細工が美しい銀のブラシをみつけた。それは、本当のお 母様が私の髪をくしけずる時に使うために10歳の時の誕生日プレゼントに贈ってくれたものだった。私は、彼女がそれに目をつけたのを悟り、飛びつくように ブラシを鏡台の上から取り上げるとさっとスカートの後ろに隠した。
「りーん。」
 ドスを利かせた、低くて怖い声を出すこの女性は・・・父の前で見せている、薔薇のような華やかな美しさと気品と優しさとは、全く違う顔を持っている。私は、恐怖に震え、ただただ、立ち尽くすしか出来なかった。
 「凛、それを持ってこっちにいらっしゃい。」
  美智子さんの取り澄ました声に、私は、必死に左右に首をふった。そうした私の我を忘れてしまった反応が、彼女を喜ばせていることに気が付かなかった。彼女は、立ち上がり、パソコンの前に行くとキーに触れた。ホームページの最初の扉のところへ画像が戻る。そして、彼女はその画面に書かれて居る文字を、一言一 言区切って、口に出した。
「You must be at least 18 to enter! 凛、あなたも、ちゃんと声に出して、読んでご覧なさい。」
  私は、何度かつばを飲み込んだ。彼女は、どうあっても、このことをなあなあですますつもりはないのだ。私は、「どうか普通の声がでますように」と、心で祈りながら、それを復唱した。You must be at least 18 to enter!たとえ、英語がよく分からなくても、なにを言っているのか歴然としている。海外のネットのスパンキングサイトのトップページには、必ず書かれ ている。「Adults-only」「18歳未満禁止」「18歳もしくは21歳以上の成人の同意のもとに」
 有罪判決文と同じだった。



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    2015

05.09

お仕置き(凛編)・5

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第四章『初めての義母からのお仕置き・下』


「そう、凛は、ちゃんと分かっていてそれを見ていたのね。18歳未満禁止のサイトは、あなたの年齢で偽って見ていいものじゃないわね?」
  私は、俯いて、ふるふると頭をふった。堪えている涙が滲んでくる。18歳未満禁止なんて、ただの形式だけ、パソコンを使ってる人ならみんな知っている。あ なたは18歳ですか?ええ、そうです。もちろん。そしてクリック、ほら魔法のように現れる、本当だったら見てはいけない画像や動画。一歩家のドアの外に出れば、絶対に手に入らない物。
 でも、そんなことが問題なんじゃない。18歳未満禁止のサイトを見たとしても、普通のアダルトサイトだったら、まだ、マシだった。そんなことよりも、もっともっと、知られたくなかったこと。それを彼女に知られてしまった。私が、お尻叩きを、叱られた罰と単純 に思っていないことを・・・。
 ここで、反抗して、あれやこれや思ってもいないこと、してもいないことを、ほじくり返されてはたまらない。例えば、さっき彼女が口にした「自慰」 私は、その時まで一度もそういう行為をした事がなかった。確かにこのサイトを見て、胸がキュンとなり、下半身が熱くなるような心地になることはあっても、寂しい時悲しい時、このサイトをみながらお父様にお尻を叩かれた事を思い出すことはあっても、そういうこととは違う。絶対に違う。
「ご、ごめんなさい・・・。」
 私の謝罪を聞いて、美智子さんは、ちょっと小首をかしげたが、やがて、また、ゆっくりとベッドの所に座った。
「じゃあ、どうするか分かってるわね?お仕置きするから、膝に乗って。」
 私は、手に持っていたブラシを、気づかれないように、ドレッサーの上にさり気なく戻そうとした。
「それは、持ってくるように言ったはずよ。」
 びくっと背が震える。このヘアブラシで叩かれる事は避けたかった。本当の母の象徴でもあるようなヘアブラシを彼女に渡してしまうのは嫌だった。けれど、もう、避けられそうにない・・・。
「お、お義母さま、ブラシで叩くのは堪忍してください。だって、我慢できないくらいに痛いのですもの。お願い。」
 まつげの隙間から、涙がいっぱい溜まった目を上目遣いにして懇願した。
「凛、あなた、分かっててわざとやってるわね。そんなふうな目つきをすると、私が、可愛そうだと思って、手加減するとか考えてるわけ?」
 私は、図星を当てられて、はっと後ろに下がってしまった。自分から、ずるいことをしてるということを認めてしまった。
「また、お仕置きする理由が増えてしまったわ。ほんとに困った子ね。」
  もうだめ。私は、観念して、しおしおと彼女のそばに近づいた。ブラシをそっと差し出して、彼女に渡す。それから、彼女の膝の上にうつ伏せになった。美智子 さんは私の体を左手で押さえつけようとしながらもぞもぞと位置を探っていた。そして、私の体を前のめりになるように調整した。
「ふうん。凛、あなた、もう少し深く身体をのせて。頭が下がるように。じゃないと、お尻の下側を叩けないわ。そうそう、それでいいわ。私、子供のお尻を叩くのなんて初めてよ。宗重さんと結婚するって、こんなことまでしないといけないなんて思ってもみなかったわ。」
  そう言いながら、遠慮なくスカートをまくり上げた。スカートの上から叩くとかは、考えてもいないらしかった。私は、身体を硬くして、スカートをまくりあげられるという羞恥にじっと耐えた。彼女は、そうして固まっているわたしの身体をしげしげと眺めた。そしてクスクスと笑った。
「かわいいショーツを履いてるのね。まさに、ショーツって感じ。パンティとは言えないわ。まだまだ、子供ね。」
 私は、反射的に起き上がりスカートを引き下ろした。なんてこと言うんだろう。わざわざ、そんなことを指摘するなんて、私が傷つくのを喜んでいるとしか思えない。首まで真っ赤になって、スカートを抑えている私を、なめずりまわすように見てから、彼女はにっこり笑った。
「どうして起き上がるの?」
  ああ・・・。
  目を瞑る。今だけ、そう、今だけよ。ちょっとだけ我慢しよう。恥ずかしくても。逃げちゃだめ。早く終わらせて、そう、こんなこと、耐えられない。私は、お ずおずとまた彼女の膝の上にうつぶせになる。彼女は、もう一度私を抱え直し、そして、またスカートをめくり上げた。それから、ショーツの上からしばらくお 尻を撫でてから、そのショーツを剥き降ろした。
「あ、いやっ。」
 しっかり唇を噛み締めていたのに、思わず声が漏れてし まう。パソコンの画面に並んでいた少女のような女達と同じように、父ではない人の前にお尻を晒している。恥ずかしくてじっとなどしてられなかった。また、動いてしまった。けれど、今度はしっかりと押さえつけられていて、起き上がれなかった。
「何度も世話をやかせるんじゃないの。」
 低い声で耳元に囁かれる。私は、自分が今までに一度も経験したことのない事態に直面していることに気がついた。恐ろしさに、首筋が逆立つような気がした。彼女の手にした銀のヘアブラシが私のお尻を円を描くように周回する。母のヘアブラシの薔薇の模様。それを感じ取れるわけじゃないけれど、私の心が勝手に考えてしまう。本当の母が私にくれた、大切なそれが、私の罪によって穢されるような気がした。「お母様・・・ごめんなさい・・・。」心の中でそっと呟いた。身構える間もなく、ブラシが叩きつけられた。
「きゃああああ!!」
 痛い。今までに経験したことのない痛み。想像していたよりもずっと痛い。私は、彼女の腕から身を振り解こうともがく。強く身体を押さえつけられながら、次の、二発めが来た。
「ひいっ!」
 声をたてまいと考える時間さえない。私は、彼女の思っていたよりもずっと強い力で、腰の所を抱えられていて、彼女の膝の上から降りることが出来なかった。 続けざまの衝撃。痛みの連続。思わず叫び、腕を突っ張る。けれどまるで展翅板の上にピンで止められた蝶のように。私の体は、彼女の腕に押さえつけられ、嵐 のような暴力にもみくちゃにされていた。
 私は叫び。そして、泣いた。彼女が私を膝から降ろした時は、自分の身体を支えられずに、床に泣きながら崩れ落ちた。混乱していた私はよく分からなかったけれど、美智子さん自身も息を切らして。喘ぎながら、身繕いをすると、きっ!っと私を睨めつけた様子だった。
「これからは、容赦しませんからね。いいこと?」
 ドアが開き、閉まる音がする。終わったのだ。とにかく。今は。私は、ヒリヒリと痛むお尻に手を回したぬるりとなにか濡れた感触がして、はっと私が顔を上げると、ベッドの上に置き捨てられたヘアブラシには、血がついていた。
 今まで、ずっと我慢していた気持ちが胸の中で膨れ上がり、喉元を越えてせり上がってくる。唇を噛み締めて。それを言葉にすることを必死に堪えた。理不尽な事の積み重ね。自分の中にどうしようもなく消せずにある、父の女である女性への嫌悪感が。



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    2015

05.08

お仕置き(凛編)・3

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第三章『凛のメール・3』

 慣れというのは恐ろしい物で、しかも、誰からも指摘されないでいるうちに、自分が、書いている物が、「普通」から逸脱し始めている事に私は全く気が付いていなかった。それは、私の日常が少しずつ少しずつ、「普通」からずれてきている事でも会ったのだ。

 『本格的な冬が訪れる前のうららかな冬のひだまりが嬉しい一日でした。柊二さん、お返事有り難うございます。
  私の誕生日に、ディナーをご一緒してから、父と美智子さんの間柄は、急速に深まったようで、すぐに結婚式の準備が始まりました。家の中は、プライベートな部分の家具を入れ替えたり、寝室のカーテンやベッドカバーを統一して変えることで、華やいだ感じにしたり、インテリアコーディネーターの鈴木さんが、度々家に来て、美智子さんと一緒に相談し、父のための空間を彼女の好みに作り変えることがどんどん進んでいます。
 これからは、彼女の家になるのだ し、母の好きだった優しい黄色い花のカーテンの事ばかりを懐かしんでいてはいけないのだけど、寂しい気持ちは消すことが出来ません。なんだか、私にとっては、父のそばにあったはずの自分の居場所が無くなったような、父の部屋に入るのを拒絶されたような気持ちなの。
  父が私のお尻を叩いていたのはしつけのためだって分かっているけど、私にとっては、それは、心の底から父に甘える事の出来る、嬉しい時間だったのです。でも、そうやってお尻を叩かれている所を美智子さんに見られちゃうなんて絶対に嫌だし・・・そのために、彼女が家のどこかにいて、いつ入ってくるかわからない状況の中、父の側に寄る事なんてできない。
 最近、父は、仕事がとても忙しいらしく、たまに早く帰ってくることがあっても、美智子さんが一緒だったり、美智子さんと一緒に出かけてしまったりして、お話する機会もないのですもの。私が不安に思ったりしても、柊二さんだって仕方ないって思ってくださるでしょう?
 そんなことを考えていると、眠れなくて、それで、気を紛らわすために、ネットをして検索をしたり、youtubeの動画を観たり、いろんなサイトを回ったりしています。
  以前にも少しお話したことがあったと思うけど、海外のおしおきのサイトを見つけてから、私は、すっかり悪い子になって、そんなサイトを、あちこちを見て回るようになっています。どうして悪い子かというと、そういうサイトは全部21歳以上じゃないと見ちゃだめなの。これが父にバレたら、きっとすっごく怒られちゃうと思う。柊二さん は、こんな私を軽蔑しますか?
 私自身は、痛いことなんてちっとも好きじゃないのだけど、こんなサイトに載っている女の子たちは、これが好きなんでしょうか。それとも、嫌だけど、サイトを作るために仕方なく鞭を受けているのでしょうか。血が滲むほど酷く叩かれるのが好きだなんて、ちょっと想像できません。父に、掌で叩かれるだけでも凄く痛いし、叩かれている時は、それが終わるのならなんでも父の気にいるように、言ったり、したりしてしまうくらいよ。
 それでも、もう、三月もおしおきされてないと、なんとなく、それが恋しく思えてしまって、ついついこういうサイトの写真を眺めたり、私のあまり上手ではない英語の分かる範囲の物語を辿ってしまったりしています。
 叩かれるのが好きじゃないように、叩くのが好きな人がいることも信じられません。相手が痛がるのを見て喜ぶなんて、酷いサディストだと思わなくて?だけど、正直に言うと、そんな画像を観ていると、足の間が「きゅん」って切なくなってしまう事があります。
  これが何なのかさっぱり分からないのだけれど、でも、今度お父様が帰ってきたら、悪いことをしたことを白状して、お尻を叩いてもらわないといけないかも。 ううん。お尻を叩かれたいのではなくて、父の膝の上で抱きしめられて、「何も心配いらない」って、言ってもらいたいの。そうでないと、私、不安で泣いてしまいそうです。
 けれど、おしおきが無くなったことで、いいことも一つありました。それは、学校の保健の先生の事よ。この間、父からおしおきを受けている事がバレてしまったでしょう?その後、先生から一週間おきに保健室に来るように言われていたの。あの後、父とゆっくり話す時間がないせいで、私のお尻はいつも白いまま。だから、先生は、もう安心したみたい。あの痛いお薬を塗らなくてもいいし・・・。お仕置きよりも痛いお薬って、ありえないと思う。ほんとにあれを塗られた日は死んでしまいそうなくらいに熱い痛みで大変だったわ。
 でも、先生に背を向けてスカートをめくってお尻を見せるのは何度やっても恥ずかしくて泣きたくなっちゃう・・・。先生がショーツの脇の所を引っ張ってずり下げてしげしげとお尻を見つめている間、私は、息を詰めて、俯いたまま恥ずかしさをじっと堪えているのだけど、それがあまりに長い時間なので、汗が噴き出してくるくらいよ。
 それに先生は時々、何気なくだけど私のお尻を撫でたり、つねったりするの。女の先生だから、これは、セクハラってわけじゃないわよね。先生は、そうしながら、お尻が大丈夫な状態なのか確かめてくださっているだけだと言うのだけど。こんなふうなので、以前のように頻繁におしおきされていたら、隠し切れないで、絶対に不審に思われてたと思うの。
 これって喜んでいいのか、悲しんでいいのか、ちょっと複雑な気持ちだけれど。では、すぐにお返事くださいね。待っています。』

 送信ボタンを押す前に、私は、文面を三度も読み返してから、すごくためらってしまった。ネットを隔てた遠くの場所にいる人に向かって書いているとはいえ、あまりにも、赤裸々過ぎる気がしたのだ。けれど、自分の恥ずかしい場所を自ら晒す事で、今の私はようやく息をしているような気がする。こうやって打ち明ける相手がいなかったら、自分はどうなっていたんだろう。



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    2015

05.06

お仕置き(凛編)・2

始めから読む

第二章『凛のメール・2』

『冷たい空気が頬に痛い冬、晴れ渡って雲一つ無い空が好きです。お仕置きで腫れ上がったお尻もその冷たさで冷やしてくれたらいいのに。
 先日、柊二さんにも話していた、ホテルでの16歳の誕生日のディナー。とっても楽しみにしていたのですが、当日になって父に、もう一人女性を一緒に招待していることを教えられました。いつものように、二人だけのお祝いと思っていた私は、本当にショックです。
 母が死んでから五年。父もまだ若いのだし、付き合っている女性がいても不思議ではなかったのだけど、そんなことは全く考えもしてませんでした。 
 その女性は、美智子さんと言って、父よりも15歳も若くて、商社で秘書をしているという話でした。ほっそりとした身体にシンプルな黒いワンピースとハイヒール。赤い口紅を引いて、胸元には、光るダイヤモンドのペンダント。都会的な美人っていうのにふさわしい咲き誇る薔薇のような人でした。どちらかと言えば華奢で、ふわふわとしたお嬢さん臭さが抜けなかった母とは、ぜんぜん違うタイプです。
 でも、わざわざ紹介するくらいなのだから、もしかしたら、父はその人と結婚する事を考えているのかもしれません。忙しくて、始終家を留守にしている父なのだけど、どこかしら、自分だけのもののように思っていた私は、父にも私の知らないプライベートな時間があるのだということが、受け入れられませんでした。
 そうだとしても、愛する父親が幸せになるのは、祝福しないといけないですよね・・・。これから、時々、家にも遊びに来ると言っていたので、努力して仲良くなって行くつもりです私は人見知りをする質なので、うまくいくかどうか不安なのですが。
 それから・・・』
  そこまで書いて、私は言葉に詰まってしまった。いい子ぶっている自分の言葉に、自己嫌悪を感じた私はそのメールを保存せずにそのまま消してしまった。立ち上がって、ベッドの上に身体を投げ出す。お尻がひりひりと痛んで、長い時間座ることができないのだ。それは、お仕置きを受けた時の打撲の痛みとは違って、焼けつくような熱さと痛みが混然としたひりつきで、一瞬も私にその事を忘れさせてくれない。
  あのディナーの夜、父を奪われたような哀しさとショックは、深く、深く私の心を引き裂いた。こわばった頬でうまく微笑むことも出来ず、涙で潤む目を見られまいと、食事の間ほとんど喋らずずっと俯いていた。そして感情を隠そうとするあまりに、食事が終わった後も、そっけない挨拶しかできずに、女性を送っていくという父に背を向けてそそくさとタクシーで帰ってしまったのだ。
 そんな子供っぽい態度は当然父に許されるはずもなく、その夜遅く帰ってきた父 は、もう部屋にさがっていた私の部屋にわざわざやってきた。そして、私を膝に抱え上げるとパジャマのズボンを引き下げて、厳しい声で説教を始めたのだ。自分の態度が、お祝いを言うために来てくれた彼女に対して、言い訳の出来ない失礼な振る舞いだったことは、社交の常識を持ちだされなくても分かってはいたのだけれど。それでも・・・。それでも、傷つけられた娘の気持ちをもっと案じてくれてもいいのではないかと今でも思ってしまう。
 父が、私が考えている事。感じている事を察してくれなかった事も、衝撃だった。私は素直に謝れず、父からたっぷりとお仕置きをされてしまったのである。思い出しただけで、また、瞼に涙が溢れてくる。
 心から反省して謝った時、お仕置きはちっとも辛くなく、終わった後は、 心置きなく父親の膝に甘えられたのに、その夜は違った。無理矢理押し出した謝罪の言葉は、私の胸を重く塞ぎ、打たれた身体よりも辱められたプライドがずっと強く傷んだ。私よりもあの人の肩をもつの?私よりもあの人のほうが大事なの?私は、何度も心の中で繰り返し、会ったばかりの他人のために、お尻をむき出しにされる屈辱に震えた。

 それだけではなかった。翌日、学校で学期始めの身体検査があって、泣きながら眠れない夜を過ごした私は、自分の悲しみにかまけていて、ついうっかりと、お仕置きされた赤い掌の後を保健の先生に見咎められてしまったのだ。そのために、自分から、保健の先生にお尻をまくって見せなくてはならなかった。
 子供の頃ならいざしらず、明らかにお尻を叩かれた掌の痕をつけたお尻を、他人の目に晒さなくてはいけない恥ずかしさは、物凄く強くて、私は、度重なる屈辱に、足が震えた。父にお尻を叩かれるなんて、なんでもないふりをする事だけが、私に残された選択肢だった。

  そして、先生が塗ってくれた薬。早く治ると言われたのだけど、冷たい手で先生がお尻に薬を塗り広げ始めた時は、あまりの熱い痛みに私は叫び声を押さえるのがやっとのありさまだった。かっと全身に汗が噴き出してくる。拳を握りしめて身体を硬直させる。痛い。私が顔を歪め、先生の手の下から逃れようとお尻をくねらせると、先生は腰の所を強い力で押さえつけ、タップリとまんべんなくそのお尻の丸みにそってその薬を塗り広げた。
「来週の土曜日も検査しますから、早めに登校するように」
 追い打ちをかけるような先生の言葉に私は、頷くしか術がなかった。その時、確かに私は見てしまった。先生の頬にちらっと見えた、意地悪をした後の喜びの表情を・・・。キラキラと光る瞳は興味津々の気持ちを隠してはいなかった。
  その後の授業は、地獄のようだった。放課後に来るように言われていたのに、後ろめたさに授業が終わるまで待つことが出来なかった私は、そのつけを焼けるようなお尻の痛みで払わなければいけなかったのだ。椅子の上に座ると沁み入るような痛みが焼けるように強くなり、私は、膝に力を込めてお尻を椅子に押し付けないように腰を浮かせてその午後を過ごした。けれど、それもやっぱり限界がある。酷使した太腿や膝やふくらはぎは段々と持ちこたえられなくなり、震えだす。思わずお尻を落としてしまい、そして、また跳ね上がるといった、教師の目から見ればいささか不自然な動きを繰り返してしまう。
 こんなに大きくなって、父親のお膝の上でお仕置きを受けているなんて、他の人に知られたくない。でも、こんなことをしていたら、すぐにバレてしまいそうである。
  八方塞がりの状態が、終礼で終わりを告げた時、私は安堵のあまりに、泣きそうになった。挨拶も、そこそこに、迎えの車に乗って、後部座席では横向きにうつ伏せになり、家に帰り、服を脱ぐのももどかしく、浴室に湯をはった。とにかく塗られた薬を洗い流してしまおうと思ったのだ。
 お風呂は程よい湯加 減に暖められていた。そして、一杯目のかかり湯を肩先から被った私は、悲鳴をあげて立ち上がった。ただでさえ我慢ができなかった、私のお尻は、焼けるようだった。お湯が激しく沁みるのだ。でも、よく石鹸を付けて洗えば、何度もかかり湯をして流せば・・・。だが、その薬はそんな甘いものではなかったのである。あたたまり、赤く腫れ上がったお尻は、血行がよくなったせいで泣きたいほどの痛さがじんじんと続いている。

 痛い・・・。痛い。痛い。

 私は枕をきつく抱きしめながら、一度も会ったことのない男性の事を考えてしまっていた。それから、保健の先生に押さえつけられていた時の事を。嫌だったはずなのに、どこか後ろめたく感じながらその事を思い出している自分がいた。


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    2015

05.04

お仕置き(凛編)・1

 挫折してしまったリレー小説。今度は一人でもう一度挑戦してみようと思っています。実は、あの頃と比べて、自分の書く文章は少しは成長したと思いたいし、文体も変わっているのですけれど、文章そのものには、余り手を加えないで、推理小説の部分や、学校でのあれこれは、削除傾向で進んでいこうと思います。まだ、伏線を全部拾うとか、器用な事が出来ませんからね。(^▽^:
中盤からは未知の部分になるので、どれくらいで完結するのかはまだ未定ですが、のんびりお付き合いくださいませ。




第一章『凛のメール・1』

 『父親にお尻を叩かれることが好きだって子供がたくさんいるわけがない。私はそう思ってしまうのです。
 柊二さん、お元気ですか?昨日の夜から、ずっと冷たい雨が降っています。急に寒くなりましたね。今日はこんな天気なので、執事の柿崎に学校まで車で送ってもらってしまいました。それは柿崎の仕事ではないのに、迷惑をかけてしまいました。
 柊二さんの住んでる所はどんな土地なのでしょうか。ネットの掲示板で知り合った人は、近くても遠くても、みんな同じ距離の場所にいるような気がします。それは、自分とネットとの、心の距離なのかもしれません。友達と呼べる人が周りいない私にとっては、あなたへ送るメール以上に本心を語れる場所はありません。
 思い切って打ち明けるのですが、実は、今日は、決められたお仕置きの日なのです。お父様は普段は、とても、優しい父親なのです。でも、私が、悪いことをしたり、勉強の課題を怠けたり、朝、寝坊したりするのを数えてらっしゃって、金曜日の夜に、まとめてお仕置きをするんです。それはたいていお尻を叩かれることで、こんなに大きくなって小さな子のようなお仕置きを受けているのは、すごく、恥ずかしいです。
 本当はこのお仕置きは、亡くなったお母様の発案だったんですって。だから最初はお母様が叩いてらっしゃったのだけど、私があんまり、痛い痛いと泣くものだから、お母様は可哀想で叩けなくなってしまわれたの。それで、お父様がお母さまの代わりをすることになりました。
  最近は、お父様に怒られるような事はなにもありません。でも、お仕置きが無くなってしまうのも寂しいのです。お仕置きの前は、胸を締め付けられるように切ないのに、父の前に膝をつき、低く、静かに、語りかける父に諭されながら、膝の上に引き寄せられるその瞬間は、私にとって父をこの上なく身近に感じる、幸せな時間なの。終わると、ぎゅううっ・・・って抱きしめてもらい、それから、お父様のお膝に寄りかかって一週間にあった出来事とかを、聞いてもらって過ごします。よりかかったままに、眠ってしまうこともあるくらい。
  はっきりと尋ねたわけではないのですが、クラスメイトの中にそんなふうにお尻を叩くお家はないみたいな気がします。やっぱり、家は、古くからのしきたりとかがある家だからなのかなぁ。お母様も、お父様も、同じようにお仕置きされて育っていらしたんですって。だから、鞭を惜しむのは、いけないことだと思ってらっしゃるのです。

 隠しているだけで、本当はみんなそうやってお尻を叩かれているのかもしれない。そう疑って、ネットで調べてみた事があります。そしたら、びっくり。世の中には、お仕置きが大好きで、お膝に乗って叩かれたり、なにか細い棒のようなもので叩かれたり、ヘアブラシやいろいろな台所道具で叩かれるのが好きな人たちがいたのです。もちろん叩く人もそれが好きなのだと思います。私と同じように、叱られて、お尻を叩かれたいと思っている人たちがいっぱいいるなんて驚きでした。でも、これって、変態なんだよね・・・。 私は、お父様の大きな腕の中にすっぽりと収まって、 あったかさを感じるのが好きなだけで、変態とは違うと思うの。
 画像検索をしてみたら、服を脱いだりしている写真や、棒のような鞭で叩かれた 痛々しい写真がいっぱい並んでいたわ。私は、一度もそんなことされたこと無いし、されたいとも思わない。お父様に掌で優しく諭されるように叩かれるのが好きなの。お父様が、私が一週間どうやって過ごしたのかって事を気にかけてくれているのが分かって安心するのです。
 最近、お父様は、お仕事がとても忙しく て、毎日、私が一人で屋敷にいるのをとても心配してくれています。そして、時々、新しいお母さんが必要なんじゃないかとか言うのよ。凛は、お父様がいてくれさえすれば、それでいいのに。それにね。私、お父様はもしかして女の方にあまり興味が無いんじゃないかと思うことがあるの。あ、でも、時々ふっとそう感じるだけで、お父様がそうだと分かってるわけじゃないけど。きっと、お母様の事をいつまでも愛してらっしゃるのかもしれません。
 お仕置きをちゃんと我慢して済ませて、今日は、いっぱいお父様に甘えるつもりです。変なことばかり書いてごめんなさい。では、また。お返事をまっています。』



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