2021
(日本の)Femdomの鞭 ・ 7(四行小説)
汗ばむ身体をひきよせ、耳元で心地良く響く甘い声で囁く。
その胸は、恐怖と期待で高鳴る。
選べるのは始めるかどうかといつ終わらせるかだけ。
けれど、耐えられなければ、それは別れを意味している。
ひゅっと風を切って、ぱたんと畳を打つ縄。
しゅるしゅるしゅると引き寄せられ床を這っていく。
縛られながら、目を閉じて、全てを委ねる。心も。体重も。
着物を着せてもらう子供のように。
逃げようと身体を捻っても、避けられないことに気づくのだ。
手も、足も、括りつけられていて、口も塞がれているのに。
それでも、全身全霊で抵抗する。喉が切れるほどに叫ぶ。
哀願にのたうつ身体は、なぜこんなに愛おしいのだろう。
知らない痛みはいつも、怖れと震えを伴って来る。
耐えられないと思っても、もう遅い。
ひとつ、ふたつ、みっつ。切り裂く悲鳴。火花。暗転。
それから、ぼろ布のようにくたくたと床に横たわる至福。
痛いことは、気持ちがいいと同じじゃない。
痛いことが、好きになるなんて嘘つきだ。
ただ、何もかも通り過ぎていった後に、甘く思い出す。
そして繰返し、反芻して、咀嚼する。
