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    2013

12.16

舞姫・6

舞姫・1を読む



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「ムーブだ。」
 命じられるままに、私は右足を右に出し体重を移し替える。左足を揃えて踏み変える。そしてまた体重移動。それに合わせて腰を右へ左へ振る。教室という広い空間に向かって、私の性器は、突き出され、あますところなくさらされている。
 教師が、自分の後ろではなく、自分の脇に立っていることだけが、今の私の、すがるべきたった一本の望みだった。少なくとも今は、彼にその恥ずかしい部分を見られているわけではない。彼が観ているのは鏡に写っている私の紅潮した頬と、うろたえて泳ぐ視線と、そして誘うように大きく動く背中やお尻だけだった。
 一番肝心の部分を隠すだけのために、もっと恥ずかしい自分の心の中を覗き見られているその感覚に、私の喉は干上がり、身体を支えようとバーに伸ばされた腕は震えていた。

 自分が体重を移し、尻を振る度に、空気に触れてしまう、しまい込まれているべきものの入り口が開き、閉じ、独立した生き物のように口を開け、あえぐのが分かる。私の意識は、そこに集中し、思わず目を閉じて、その感覚を味合わずにはいられない。

「目を閉じるな。」

 予想していた要求だったから、すぐに目を開いた、目の前の鏡を見つめる。ぽってりとしたくちびるを微かに開き、欲情に濡れた瞳が自分自身を見返していた。羞恥心にあぶられるようだった。

 突然、男の手が冷たい尻に当てられたと思う間もなく、その手が上がり振り下ろされた。パーンと、乾いた音が、教室に鳴り響く、私は、ショックでびくっと引きつけしゃがみこんでしまった。尻を叩かれたのだ。私の左側に立っている教師にとって、突き出したその尻は男にとっては、格好の標的だった。

「立て。姿勢を戻すんだ。」

 その言葉に、身体は、反射的に従った。毎回のレッスンで、逡巡すればするほど、泥沼に落ち込んだように、男の要求している行動を行うのが難しくなるのは分かっていた。でも、今は、それだけではなかった。生まれて初めて、まるで子供が折檻を受ける時のように尻を叩かれたのだ。頭の中は、ショックでまっしろになっていた。

「何を考えている?自分が何のためにステップを踏んでいるのか、いちいち教えてもらわないといけないのか?」

 息を飲んだ。そう、今はラテンのレッスンの最中。最も基本中の基本である足の踏み変えに腰の動きと体重移動を合わせようとしているのに、私は、伸びたり縮んだりしている身体の中心の事ばかりを意識していたのだった。

「口で言うよりも、身体に教えこんだほうが早いかもしれんな。姿勢を崩すなよ。」

 何をするのか考えるまもなく、男は左腕で私の腰を抱え込み、一発叩かれただけでじんじんと赤くなっているそこへまた掌を振り下ろした。
パン!パン!パン!パーン!!
乾いた打擲音が教室に鳴り響く、一発毎に身体に染みこむように痛みが増していく、なにも考えられなかった頭が動き出し、起きている事を認識して、その痛みを感じ、おかれている状況を把握し始めたときには、すでに、10回の打擲が自分の身体に真っ赤な痕を残していた。





続く・・

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Category: 物語
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